2019年のブログ記事の補足

Lausanneの大聖堂入り口のライトアップ。本来は白一色の石です

3月から5月にかけて、スイスの若者の就職事情と教育について書きました。日本の6334(小中高大学)は戦後ずっと変わらないけど、スイスでは頻繁に変わるし例によって州によっても異なります。私が尋ねた人(教育専門家にはあらず)は口をそろえて「自分の学校時代はこうだったけど今は違っていて正確には知らない」と言ってました。学童期の子供がいない限り、本当に知らないようです。現在はおそらく多くの州で幼稚園から義務教育になっているようです。例えばVaud州の場合は4歳からの11年間。Cycle primaire(初等科)が前半4年、後半4年、次のDegrée secondaire(中等部)が3年で合計11年。それぞれの終わりには終了試験があり、受からなかった小学校でも落第。通常最短15歳で義務教育終了後は職業訓練を含む様々な進路が待っています

ものすごく精密な色付けの投影 まるで色付けされているかのようですが、近くのプロジェクターからの投影

私の身の回りでは甥(20歳)が義務教育終了後に4年間の職業訓練課程に入り、この夏めでたく国家資格試験に合格しました。実技試験の日が猛暑で「糊が予想以上に速く乾いてしまった、もう駄目だ~」とグッタリしていましたが無事合格!筆記試験もこなして晴れやかな修了証書授与式に出ていました。ものすごく嬉しかったようです(親も子も)。来年1月から兵役に入るので、夏からバイト三昧でお金稼いでニューヨーク。全然貯金しないと親は嘆いてましたが人生これからでいいですね。最初の入隊は4か月間ほどで、除隊間近になったら親類を招いての一般公開があるそうで私も誘ってもらえたので楽しみです。

KNIE百周年の記念切手。KNIEはドイツ語で膝の意味。創業者一族のファミリーネームですが

サーカスの話を書きました。KNIEサーカスは今年100周年。今年の演目は意外にも原点回帰、シンプルな肉体の力業。奇抜な演目ではなく昔からある演目を2019年流に洗練させたもの。あえてそうしたんだと思います。100年ということでメディアの取り上げ方がすごかった。宣伝費も相当かけていたと思う。残念なことにKNIEより歴史の長いKOCKサーカスが今年118年をもって廃業してしまいました。大小さまざまなサーカスがあるけどそれぞれ長く続いてほしい(こっちは気楽に見てるだけだけど)。

GeneveのPlanpalais広場
このテントはKNIEのじゃなくて、もっと小さなクリスマスサーカスのですが、このように外からテントを支える

KNIEは今年テントを新調しました。費用の25万フラン=約3千万円をあえてクラウドファンディングで集めたのは「皆のサーカス」との意識のためだそうです。テント内部に柱がなく、外からの2本のアーチで支える方式。写真は別のサーカスのテントですが、この形状でもっと大きいテント。なるほど内部に柱がないのでどの席からでも視界を遮るものがなく観られる!私はお金を出資してないのですがお蔭でよく見られました。ありがたい。

Lausanne Lumiere今年の笑いはコレ!一昔前の懐中電灯そっくり、今でも同じのスーパーで売ってます

KNIEと同じ年に始まり去年99回で終了したのがComptoir SuisseというLausanneでやってた見本市。今年Comptoir Suisseの歴史と意義についてのパネル展がありました。始まりは見本市というより政治家や軍人が前面に出る(参加者が男ばっかり)政治的プロパガンダの要素が強かったそうです。特に戦時中は国防色でした。新商品の展示場やイベントの場、海外旅行に行った気分にしてくれる展示などはむしろ最近の傾向だったとは。今年は後を継ぐようにComptoir Helvetique(Helvetiqueはスイスの別称)が同じ場所、半分以下の規模で開催されましたが散々な評判でした。私も無料開放日に行き、残念な状態を目の当たりにしました。大変なのを分かってる上で開催した勇気は称えるけどちょっとね。来年はFribourgで、2都市で交互に開催するとのこと。

RTSのラジオ番組Bille en Tête内でComptoir Suisseのパネル展の取材(フランス語)

Geneve Bastion。去年から始まったというクリスマス市。スイスでも年々クリスマス市が派手になってきた

フランス語圏スイスでの「今年を象徴する言葉」は”Vague verte”、緑の波=地球環境に対して行動を!の動きでした。イタリア語圏でも同様の言葉が、ドイツ語圏ではさらに「若者による」がついてました。地球環境に関する大規模なデモが頻発し、10月の選挙では「緑の党」が躍進。獲得投票数が10%、5番目の勢力として、7人の閣僚の一人に緑の党の党首の女性が立候補したのですが惨敗。

Geneve 2019年

選出方法については複雑で説明が長くなるので省きます。彼女は頑なな強硬派なのですが、もうすこし穏健な人だったら、と思わなくもない。環境派によれば「今すぐに何とかしないと手遅れ」だから強硬なのだが、右派から左派まで異なる党の7人から成るという非常に特異なスイスの閣僚システムで、あまりに押しの強い人は嫌われる傾向があるというのは以前書いた通りです。しかし今回の件では閣僚の割り振り(現在は4つの党から7人の閣僚が選出されているが厳密な獲得票数で割り振ることは不可能)システム、マジック・フォーミュラの今度の在り方については珍しく議論の的となりました。

Geneve 2019年

環境といえば、Mühleberg(ミュールベルク)の原子力発電所が12月20日をもって運転を停止しました。1972年から稼働を始めて47年、廃炉になる最初の原発です。スイスの原子力発電所はミュールベルクを含めて4か所5基。原発施設が古くなったので新しいの建設したい、と言ってたのが2011年3月以降、新規の原発建設が絶望的になると、一転してまだまだ十分使える、と言い出していました。これから順次(時間をかけてだが)廃炉にする予定。Beznauには1969年から稼働している世界でも最古のがあります

写真はハイキング途中で見かけた積み上げた木材。説明によると、薪ストーブは環境にやさしい、この量の木材で重油7000リットルに値し、近隣の木材活用は森の活性化にもつながるとのこと。

ブドウ栽培者の祭りの記念切手 半分ですが

残念な話題ではFête des vignerons、ブドウ栽培者の祭りはまだ最終結果ではないけど1600万フラン、18億円くらいの赤字となりました・・・巨大LEDパネルの舞台は素晴らしかったが、それ故に観客が夜公演に集中して昼公演のチケットが余りまくってたのと経費の掛かりすぎが主原因のよう。20年以上に一度の祭りなのでスペクタクル部門に関しては前回のやり方がそれほど踏襲できない、という同情すべき面もあった。次回は早くても20年後、開催されるかどうかも不明。20年後は私もどうなってるか分からんなあ。

それでは皆さん良いお年を!

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