Via Francigena(38)スイスワインについての誤解と真実

スイスワインはスイス国外にはほとんど出ない。これは真実。

Rivaz

美味しいのでスイスに住む人たちが国内で全部飲んじゃうから国外に出ないーーーこれは間違い!スイスワイン、国内でダブついてます。余りまくってます。でも国外にほとんど出ないのは、値段が高くてスイス国外では価格面で競争力がないのが理由。だってスイスだもの。人件費が高い!銀行員ほどは給料が高くないとしても、それでもスイスでの物価水準に見合った賃金を支払わなければならないし経費も掛かる

それに、Lavaux(ラヴォー)にしても去年連載したローヌ川沿いValais(ヴァレー)にしても、急斜面にブドウ畑が段々畑、棚田状態なので機械の導入が難しい。周辺のフランス・イタリア等々の、なだらかな広~~~大なブドウ畑のワインには値段面で太刀打ちできない。

Epessesの集落への道(ハイキング表示が無いけど、アスファルトの普通に歩ける道)

スイス産のワインは最安でもボトルで10フラン以上する(セールなどの割引前のお値段)。でも店に行くとフランス・イタリア・スペイン・ポルトガル等々の周辺国のワインが5フラン位から売ってるんですよ。遠くから運ばれてくる新世界、アメリカ、チリ、アルゼンチン、南アフリカ産のワインだってスイスワインより安いのがゴロゴロ。同じ10フラン台の値段だったら、フランスやイタリア産の方が「良い」のかな、と思ってしまう。

ここから先の写真はLavauxではなく、Valaisのブドウ畑。やっぱり斜面

スイスを含むヨーロッパにおいて、ワインは「特別の日のちょっと気取った飲み物」ではなく、日本でのビールの立ち位置に近い。普通の家庭で毎日飲むものだし、ちょっとした集まりでの乾杯ではビールは無くワインしかなかったりする。日本のワイン漫画(神の雫)を読んでると、このクォリティで3000円台、安い!とか言ってますが、物価が日本よりよほど高いスイスでも、一般人が飲んでいる売れ筋のワインはもっとずっと安いのです。

水を送るための水路Bisses

日本でビールから発泡酒、第三のビールへとより安く、を追求したように、スイスでだって普段飲んでるのは「値段がそれほど高くなくても美味い、飲みやすい」ワイン。安くておいし(そうな)ワインの方を選び、それほどこだわりは無かったりする。そして悲しいかな、スイスに住んでいても国産ワインに目もくれない人も結構いる。

これも水路 Valaisは特に降水量が少なく、ブドウ畑自体が高所にあるのでこうした水路が張り巡らされている。やっぱりとても大変な思いをしてブドウ作っていた

スイスの人口はどんどん増えてますが、ワインを飲まない人も増えていて、余剰ワインの増加量が半端ないのです。特に問題になったのは猛暑だった2018年の次の年。暑くてブドウの収穫量は多かったが品質は普通だったとかで、生産者の樽の中で余ったワイン、次の醸造のためのスペースを空けるために大量に捨てられたそうです(涙)

希少ワインと言われることもあるが、確かに作付面積、生産量とも周辺国と比べると少ないのでそれは合ってるかも。「貴重」かどうかは判断が分かれるけど。というわけで、スイスの外ではほとんど飲めないスイスワイン。スイスに来たなら飲んでみよう!でもどうやって?というのを次回。

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