スイスの政治(4)各候補者は他の政党の議員、それに国民を説得しなければならない

国民党(SVP/ UDC)と社会党(SP/PS)からそれぞれ2人の計4名。12月7日の本番選挙の前の週は4名について、4名の特長、考え方や経歴について、誰が当選するか(国民党の2人の候補から1名、社会党の2人から1名がそれぞれ選ばれる予定)テレビ、ラジオ、新聞、とにかくメディアの扱いがすごいことになってました。

スイスフランス語放送のラジオでも、朝のニュース番組に4人が毎日日替わりで出演して経済や移民やエネルギー問題などについてインタビューを受けていました。4人のうち3人はドイツ語圏出身ですが、スイスフランス語放送の聴視者に向けてはフランス語で受け答えをします。彼らが選ばれるのは連邦議会の議員による投票で、一般大衆には選択権がないのですが、それでもどんな人が国政に関わるのかは知っておきたい。

候補者4名は自分の所属政党以外の政党の聴聞会にも出席します。そこで得られた候補者の人柄や考え方の情報から、党としてどちらに投票するかの推薦がある場合もあるそうですが、今回の候補者については個々人の選択に任せるとの判断に至ったようです(と書いたらリベラル緑の党のみは、両名に行ったヒアリングの結果、所属党員に対し、社会党の二名のうちHerzog氏への投票を推薦してきました)。前日の候補者が所属するSVP、SP以外の政党にとっても誰を選ぶかは一大事です。なにせ、(今のところ)上位4党の、異なる4党からなる内閣(連邦参事会)で、文字通り呉越同舟でやってかなければならないわけです。ほぼ真逆な党方針の党のバックグラウンドを持つ人たちが、それでも協力して内閣を運営していかなければならないのです。候補者選びの段階から「極端」な人でなく、他の党からも認められる、妥協点を見いだせる人が選ばれることになります。そうしないと内閣分裂、無政府状態になってしまう!

一般人を相手にした討論会にしろ、議員団相手のヒアリングにしろ、ドイツ語とフランス語の両方の能力がとても大切になります。イマドキは母国語以外の言語のフランス語/ドイツ語に対し、世界に羽ばたくのだったら英語でしょ、と思われがちですが、国政を目指すのなら独・仏語の両言語は必須です。国民に語る機会がなくとも、議場外の廊下でのちょっとした話し合いやロビー活動において、片方の言葉しか分からないというのは弱点になります

発音には癖が残っても、語彙力と文法の正しさは努力で向上できます。スイスではよく言われるように、国の決まりごとが国民投票で決まります。国民投票にかけられる政府提案の議案に対し「Yes」が過半数を取れるように、政府の方針に反した議案に対しては「No」が過半数で棄却されるよう、国民に対し訴えて説明して納得させるのは、それぞれの議案に関する7つの省を代表する7人たちの役目なのです。

実際、Maurer氏にしてもSommaruga氏にしても、両氏が関連した国民投票議案が可決されたかどうかが任期中の「手柄/失敗」として評価の一部になっているようです。例えばMaurer氏は軍事大臣時代の戦闘機購入の是非が国民投票で棄却。Sommaruga氏は環境大臣として、二酸化炭素削減のための法案が棄却されたことなど。

RTS(スイスのフランス語放送)のサイトから:

Conseil fédéralの移り変わり(政党別、年代別一覧 男性110、女性9名!)

https://www.rts.ch/info/suisse/13584142-neuf-femmes-et-110-hommes-lhistoire-du-conseil-federal-en-un-clin-doeil.html

連邦政府公式サイト

https://www.admin.ch/gov/en/start.html

2名の新閣僚選挙について(まとめ)

https://www.rts.ch/info/dossiers/2022/double-succession-au-conseil-federal/

4人の候補者の顔ぶれ:https://www.rts.ch/info/suisse/13588718-qui-sont-les-quatre-candidates-et-candidats-au-conseil-federal.html

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