社会民主党(SP/PS)のSimonetta Sommaruga氏が11月2日に12月末での辞任を発表し、次の候補者選びが始まりました。
早速メディアによる候補者予想、それに続き名前が出た候補者達からの「私は出ません」宣言、しばらくして立候補者の名乗り。ここまでは前回のSVP/ UDC党と同じですが、社会民主党ならではの条件がありました。この左派政党は男女平等、女性の地位向上への取り組みを掲げており、現在2席のSP/PSの閣僚も男女各1名ずつ。Sommaruga氏は女性なので、彼女に代わるのも女性であるべしというのが党の方針。
それって男女逆差別ではないか?と党方針に反して男性社会党議員Jositsch氏が立候補したのが11月8日。しかも一番早く立候補を表明。ちなみに、連邦参事(閣僚)には、スイスの被選挙権があれば誰でも立候補できることになってますが、現実には現/元議員など政治家としての実績がなきゃ無理ですね。書類にハンコを押すだけの簡単なお仕事、お飾りではなく、後述の通り国民を「説得」しなければならない大変な仕事ですから。
11月中旬までに男1人と女3人の計4人の候補者が出た後、やはり党の方針として女性閣僚の後には女性候補者に限るという理由で男性立候補者は外され、女性立候補者3人に対する党内でのオーディション、さらには11月21日からはルツェルン、ローザンヌ、チューリッヒ、Liestal(Via Gottardoで通ったわ~)の4か所・日替わり4日間連続で一般人を対象に公開討論会ツアーを経て、26日には候補者が2人に絞られました。
(11月22日にLausanneで行われた3人の候補者による公開討論会の生中継。1時間半。SP/PSの公式チャンネルから)
最終的に候補者に残った2人のうち、1人はバーゼル出身(ドイツ語圏)、もう1人はJura州(フランス語圏)。辞任するSommaruga氏はベルン州でドイツ語圏。現在の閣僚7人の内訳は、イタリア語圏1人、ドイツ語圏4人にフランス語圏から2人。フランス語圏からの2人とはSVP/UDCの1名とSP/PSの辞任しない方のそれぞれ1人。この辺りで読んでて嫌になってきてる人も多いかとも思いますが、ドイツ語圏からのSommaruga氏の後に、Jura州の候補が当選することになると、ドイツ語圏(4-1=)3人にフランス語圏(2+1=)3人となります。フランス語圏から最後に3人閣僚が出たのは100年近く前のことだそうで、人口比的にドイツ語圏人数の半分以下しかいないフランス語圏からドイツ語圏からと同数の3人、イタリア語圏を加えるとラテン語系が4名と過半数を占めるのってバランス的に変じゃない?という面も7日の投票の際には影響するかもね、という話です。本人の資質だけでなく、言語バランスが重視されるということ。ちなみに、候補者4人とも、いや、立候補者の全員がドイツ語とフランス語の両言語を相当なレベルで話すんですよ、というのは次回のテーマ。
スイス社会民主党 SP/PSのサイト:
RTS(スイスのフランス語放送)のサイトから:
2名の新閣僚選挙について(まとめ)
https://www.rts.ch/info/dossiers/2022/double-succession-au-conseil-federal/