地図と地名の罠

しつこく書いてますが、スイスでは複数の言語が使われていて、地名さえも言語により変わります。同じ地名が、例えばジュネーブはフランス語ではGenève(発音はジュネーブ)、ドイツ語ではGenf(ゲンフ)、イタリア語ではGeneva(ジェネヴァ)。これなんかは出だしがGで似通ってるようなものの、まったく違うこともあります。レーティッシュ鉄道にはDisentis(ドイツ語名)/Mustér(ロマンシュ語)という駅がありますが、これなどドイツ語とロマンシュ語で出だしからして違うが同じ場所の名前なのです。

この / でつなげてあるのは同じ地名を二つの言語で列記する方法。Bergün/Bravuognのように併記します。駅名だったら二つを併記する余裕がありますが、ハイキングの道標では一言語での記述がほとんどです。その場合、頭にある地名と道標が異なっていて、ちょっと戸惑うこともありますが、想像力を駆使して乗り切りましょう!

Morteratschにある道標。

たとえば、上の写真はMorteratschにあった道標で、「Puntraschignaまで1時間15分」とあります。Pontraschignaとは隣の町、Pontresinaのことです。Pontresinaのほうが圧倒的に知名度がありますが、こんなところにMorteratsch、ロマンシュ語圏の誇りが。

Morteratschにあった案内板。ドイツ語の下にはロマンシュ語併記。英語がないのがちょっと辛い。

さてBernina(ベルニナ)峠は言語境界線にもなっています。ドイツ語/ロマンシュ語のEngadin/Engiadina(エンガディン)地方からイタリア語圏(ロンバルチア地方方言)地域に入ります。

グラウビュンデン州の言語地図。スイスと形が似てますが、グラウビュンデン州。

上の図はグラウビュンデン州の言語の分布図です。黄土色がドイツ語(といってもスイスドイツ語)、紫がロマンシュ語、南に分布している青紫がイタリア語です。3つある青紫の塊のうち、一番右側のPoschiavoとあるイタリア語圏にこれから入ろうとしています(イタリア語でPoschiavo、ドイツ語、ロマンシュ語ではともにPuschlav)。St.Moritzからバスに乗って行ったSoglioがあるイタリア語圏はBregagliaは真ん中の青紫です。

グラウビュンデン州の博物館でちょっと困ること。説明がドイツ語とイタリア語、ドイツ語とロマンシュ語の二言語で書かれている場合です。英語で表記するスペースがないとはいえ、ちょっと大変。

私が町の人口と母語の分布割合を列挙するときに、昔はほぼ全員がロマンシュ語を話していたが今ではドイツ語に押されている、のような印象を持たれるかもしれませんが、グラウビュンデンにはロマンシュ語だけでなく、ドイツ語やイタリア語も元々話されていた、オフィシャル言語が3つの極めて特徴的な州だ、と言えます。

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