医療崩壊が日常なスイスの医療

想像できますか?最新の高度医療を受けることができるスイスなのに、「ちょっとした風邪」などでお世話になる家庭医・一般医に診てもらうのが超困難になっていることを。スイスでは部分的に医療崩壊が日常的。コロナのせいじゃなくてコロナ以前から、そして現在も未来も。コロナ感染者増に日本以外の国はどう対処しているのか?コロナ感染の可能性にも関わらず何故にマスクなしで密になっても平気なのか?コロナが常態化してしまって、全然平気じゃないけれど、コロナだろうが「ただの」風邪だろうがインフルエンザだろうが、簡単には医者にかかれない!

2022年 Ecoteauの学校建物

スイスで医者にかかろうと思ったら、基本的に予約が必要。運が悪ければものすごく待つ。数か月先とか平気で待たせる。理由の一つは、医者も看護師も決められた勤務時間以上は働かないから!

別角度から

日本でよくある、調子が悪いから会社を早引けして、ちょっと医者で診てもらって帰るというのは羨ましさを通り越して夢物語だ。内科医にしろ接骨医にしろ、予約なしで行って診てもらうのはとても大変。病院の救急外来では命にかかわらないと判断されたら、数時間とか半日待たされるのは普通。なるべく救急に人が来ないようにしていると、病院側が公言しているくらい。

これは学校建物ではなくて農家の家。大きな家

高齢の知人が血圧が上がって気持ちが悪くなって家の隣の総合病院に駆け込んだら、入院病棟はあるけど時間外の救急診療はできないと言われて遠くの病院に救急車で運ばれ(タダではない)、診察を終えた深夜に放り出されたのでタクシー150フランかけて帰ってきたという医療崩壊事情

日本で母の付き添いで、予約なしで整形外科に行き、確かに最後のお医者さんの診療は3分かもしれないけれど、ほとんど待ち時間なしで看護師さんや理学療法士さんたちの流れるような素晴らしい連携で、待合室にあふれかえっていた患者さんが見る見るうちにさばけていったのを見て感嘆した。スイスでは、待合室がどんな状況であろうと、時間になると看護師さんたちが休みを取り、交代して帰る。

この建物はLaiterieとあり、牛乳置き場かチーズ工房だったと思われます。

スイスでは最先端の手術は(予約して)受けられるかもしれないが、もっと平凡な、ちょっと薬処方して、という診察が簡単には受けられない。だから近年は薬局で薬剤師に相談してから(薬処方してもらって)、それでも治らなければ医者に診てもらうようにする、という医療保険プランが出てきたわけだ。
家庭医(町のお医者さん)が本当に少なくて(人口が激増してることもある)、ほとんどの家族医が新規の患者を受け付けていない(手一杯だそうだ)。専門医がべらぼうに稼げるので家庭医の成り手が壊滅的に減っているのも一因。相当調子が悪くても、救急の待合で数時間過ごすことを考えると、医者にかかれない。往診なんて夢のまた夢。コロナかどうかにかかわらず、じっと我慢するしかない。本当に。

第二次世界大戦中に活躍した(戦争に参加していないけど国防で)Guisan将軍メモリアル散歩コース

尚、ちょっとした不調で自力で移動できる場合はPermanence Médicale (仏)Medizinische Permanence(独)がお手軽です。病院ほど大きくなく「診療所」的な規模ですが、駅に隣接していたり、街の中心にあることが多いです。予約なしの場合は診療時間が始まってからなるべく早い時間に行くのがお勧めです。ご近所にあるかどうかググってください。
写真は2022年3月初め
追記(1/23):スイスでの「家庭医」不足の惨状についての記事:

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