ベルニナ急行などのパノラマ列車について

St.Moritz(サン・モリッツ)からはいよいよベルニナ線に入ります。以前にも書きましたが、物資の輸送路として蒸気機関なのにパワーと速さが求められたAlbuna線とは異なり、Bernina線は当初より電化されていて(1888年Samedanに発電施設)観光への比重も大きかったのです。

さてベルニナ線と聞いて「ベルニナ急行」を思い浮かべた方も多いかと思います。指定席を予約しなければならないのかな?

ベルニナ急行ーBernina ExpressはSt.Moritz(サン・モリッツ)などからTiranoまでのベルニナ線を走るパノラマ車両を指すと考えてよいでしょう。ちなみにExpress=急行で通過する駅もありますが、全体の所要時間は各駅列車とさほど変わらないどころか普通列車より数分余計にかかるのもあります。

Bernina Expressの運行地図。St.MoritzはSamedanの隣だけど埋もれて読めないですね。TiranoとLugano間にはバスが走っているが、これはさほどの景色ではないと思う。Bernina ExpressのHPより

何故St.Moritz「など」と言ったかというと、夏なら4本あるExpressは、2本がSt.Moritzが始発ですが残り2本はそれぞれChur(クール)、Davos(ダヴォス)を出発し、St.Moritzまでは行かずにSamedanからPontresinaに直接行ってしまうからです。(例の三角地帯)。ちなみにLandwasser高架橋を通りたかったらTiefencastelとFilisurの間を通るThur発のに乗らなければなりませんよ。

Bernina Express夏のダイヤ。2本はSt.Moritz始発。残り2本はSt.Moritz通過。

ついでに言うと、「Glacier Express=氷河特急(急行とも)」ですが、これはZermatt(ツェルマット)からBrig(ブリーグ)、Andermatt(アンデルマット)、Disentis/Muster(ディセンティス/ムステ)、Churを経由してSt.Moritzまで7~8時間、複数の鉄道会社の線路を同じ車両が駆け抜ける(遅いけど)全席指定のパノラマ列車です。

赤い線をGlacier Expressが走る。St.Moritz以南は走らない。

氷河特急はThusisからSt.Moritzの間のAlbula線も走るのでランドヴァッサー高架橋やBregun-Prada間の線路クルクルは見られますが、ベルニナ線には入りません。

こちらはBernina Express 窓は大きいけど開かない

一日に数本運行されている、これら「Express」のパノラマ車両(一等車と二等車がある)に乗るには指定席券が必要です。

しかし!Bernina Expressに関して言えば、パノラマ車両の後ろには予約なしでも乗れる普通車両が連結されているのです。(一方の氷河急行のほうは全車両指定)

パノラマ車両(左)と普通車両(右)

スイスには「○○Express」と名乗る路線がいくつかあります。どれも車両は観光用のパノラマ車両ですが、観光専用の路線があるわけでなく、通勤通学を含む普通の移動に使われる、地域の足である路線を走ります。

Golden Pass(ゴールデンパス Montreux-Zweisinmen間、チョコレート列車やチーズ列車などもあり)の二等アンティーク車両に至っては指定席券無しでも乗れます。いや、あれはむしろ特別列車のほうが椅子が硬くて乗り心地は悪い・・・Glacier Express=氷河急行を除いてはよほどの動員人数で臨時列車じゃない限り、どれも後ろに一般車両が連結されていると思います。もちろん、パノラマ車両の一番前を取りたいなどの場合には、ネット上で席の位置を確認して指定席をとることもできます。

ベルニナ急行じゃなくてもベルニナ線は楽しめます。むしろ、「Express」への乗車にこだわらなければ一日に運行している本数は格段に増えるので、途中下車して周辺を歩いてお茶飲んで、次の列車に乗ることができます。切符は最終目的地まで有効、何度でも途中下車できます。

MorteratschとDiavolezzaの間。この辺りは見通しが良いので、すぐそばのハイカーや自転車の人と目が合う。

私が普通車両をお勧めする理由の一つには、AlbulaにしてもBernina線にしても、車窓の右に左に見せ場がくるくると変わるからです。運よく空いてる車両だったら、大人だってはしゃいで席を右に左に移動したくなる景色です。同じ座席にずーっと座っているのは、特に時差ボケが残っている時にはちょっと辛いんじゃなかろうか、眠っちゃうんじゃなかろうか、と危惧するからです。

普通列車。皆さん列車の窓から手を出してます。写真撮ってます。

もう一つ、窓を開け、窓から顔を出して(ちょっとだけよ、急にトンネルに入ったり危ないこともあるからね)乗りたい列車だからです。パノラマ車両、窓大きいけど開かないんだよね。カーブでふと前後の車両を見ると、どの車両からもいい年をした大人たちが窓から鈴なりになって風に当たってるのが見える。いい大人たちが、であるが、お子様にはこの楽しさはわかるまい!普通車両でも一部の窓の開かない車両があるかもしれません。古そうな車両が確実です。一番最初の大きい写真、新旧の普通車両が連結されてますね。

天気が良ければ最高に楽しいのは窓なしオープン車両です。ものすごく日に焼けるけど。これは二等車で特別な券は必要ありません。

オープン展望車

Albula線は深い峡谷の中などを走る区間が多いですが、Bernina線はずっと、人の姿が見えるところを走ります。特にPontresinaからMiralagoまでは、楽しそうに歩いている人が列車からも見え、列車の中の人と外で列車を見る人が、見知らぬ同士が互いに手を振りあう。ものすごく幸せな列車。

MorteratschとDiavolezzaの間。道と黄色の道標。そこ、歩きたい。

Bernina Express

https://www.rhb.ch/en/panoramic-trains/bernina-express

Glacier Express

https://www.glacierexpress.ch/en/

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