ハーマイオニーがいなかったら 6月14日 女性ストライキ

LausanneのSt-Françoisというバスの一大発着地前で普段は交通量が多い道路です。17:30頃

数か月前から話題になってた日がやってきました。6月14日、女性のストライキの日

スイスにおける女性の状況は必ずしも明るくない。現在は7名の閣僚中3人が女性と半数に迫る勢いだが、これは性別や語圏などのバランスを図った故であり、一般的には女性であるゆえに不利を被ることも少なくない。以前書いたように、スイスでは給料額を公表しないのが常。給料額は個々の話し合いで決められるので、同僚が幾らもらっているか知らない、その結果、同じ仕事をしてても女性の賃金は低く抑えられがちであるらしい。また終身雇用制ではないので簡単に解雇でき、妊娠出産を経た女性の1割が職を失っているとのデータもある。働く女性の6割が週5日のフルタイムより少ない日数の勤務、よって賃金が少ない、よって退職後にもらえる年金や蓄えに差が出る。じゃあフルで働けばよいかというと、子育てなどの家庭内労働の多くは女性が担っているのだから、、、

17:45教会の鐘が鳴って、いよいよか?

スイスで女性の参政権が認められたのは1971年、遅っ!!!男女平等が憲法に明記されたのが1981年・・・1991年には10年経ったけど進歩がない!と抗議の女性デモがあり、50万人の動員があった。それから28年。スイスでは何事にも進捗が遅いのが常だけど、それにしてもこのまま待ってはいられない、と今回のデモである。

右側に「私達の尻にだって毛が生えてるのよ」との横断幕。男性の皆さん、そうなんですよ

金曜日が始まる午前0時から今回のストのシンボルカラーである紫色でライトアップがなされたり、道路を封鎖して無料朝食が配られたり、と朝からイベントが目白押しでした。「ストライキ」に関しては、女性が多く働いている小売業や接客、病院などで実際に職場を放棄する例はほとんどなく混乱はなかったようでした。前々から予告してたから参加者は有休をとるなどしていたようです。

18時 いよいよ出発 と思いきや全然進まず

学校については、とある自治体では22校が休校、70校は男女同権についての話し合いや映画を観せる日にしたそうな。国会議事堂では主に左派が、女性に限らず男性の議員も紫色の何かを身にまとってました。「男性へのストライキではなく、社会に対するストライキ」であり、男性にとっては彼らの母、妻、娘、または息子のパートナーになるかもしれない女性の未来のための闘いなので。

私は午後6時からのデモ行進に行ってきました。地域で昼間に様々なイベントが行われた後、老若男女が終業後にそれぞれの住む州の中心都市に集結してのデモ行進は多くの参加者を集め、チューリッヒでは主催者発表16万人(警察発表10万人)、ローザンヌ6万人(4万人)、ジュネーブ3万人(1万2千人)等々・・・ちなみにスイスでは都市部では今回のストライキの中心になった左派政党への支持率が圧倒的に高いです。全国的には現在右に寄っているので、中小市町村では右派が強いということになるのけど。

ローザンヌにはバスのほとんどが発着するSt-Françoisという所があって、今回に限らずデモやイベントがあると駅前からそこまでの町の中心部が封鎖されるが今回は本当に長期間、大規模の封鎖でした。この日に大荷物もって駅に着いてたら泣いてたな。実際、道路封鎖の影響を受けない地下鉄やここを迂回して運行していたバス路線は超混み混みだったそうです。17時から20時過ぎまでは間違いなく封鎖されてました。とにかく通りも広場も人でいっぱい。17:45に教会の鐘が鳴って盛り上がり、18時に出発かと思いきや、あまりの人数でほとんど進まず、脇で見ていた私は写真だけ撮って帰ろうと思っていたのが、そばのおばさんが「大事なのは人数が多いってことよ!」と言ってたので、じゃあ、もうちょっと残るか、で結局2時間くらいそばで眺めてました。中心のSt-François広場を行進の最後の人が通り抜けたのは19時半になっていましたから。翌日以降、予想外に参加者が多かったことが報道され、それが話題になり、なるほどデモって、カウントされることが大事なんですね。そうしないと伝わらない。今回は一緒に歩いた人も多かったし、歩かなくてもそばに来た、見に来た、見守り続けた人が本当に多かった。「世界の女性たちよ連帯を!」などとシュプレヒコールも上げてましたが、本当に和やかなとても良い雰囲気でした。女性だけでなく、男性、年配者、ベビーカー連れと様々な年代が参加していました。普段車が飛ばしてる道を人間が占拠しているのは気持ちがよいし。労働組合や政党の旗を持ったグループもあったし、高校生の一団もいたし、そしてそれぞれが好き勝手なことを書いたプラカード、もしくはただの段ボールを掲げてました(これ腕が疲れそうだけど)。

「ハーマイオニーがいなかったらハリー(ポッター)は1巻目で死んでた」

「女が男の肋骨から生まれたんじゃない(旧約聖書のアダムとイブの話)、男が女の子宮から生まれた」

「女の尻にも男の尻と同じように毛が生えている」(・・・)

通りには偉人の名前がついていることが多いのですが、この日に限って勝手に改名。小道(ruelle)と彼女(Elle)をかけている。

もちろん、「女は資本主義に闘いを挑む」とか「私たちの未来、娘たちの未来」とか「平等賃金」とか真面目なことを書いてるのがほとんどでしたが、なんか面白いこと書いてないかな、と一生懸命読んでしまいました。デモに参加するなら是非クスリと笑えるような気の利いたこと書いてほしい~ あと、女性の権利といえばセクシャルなテーマも絡んでくるので、若い娘さんがそんな生々しい絵を掲げていていいのかい?と思うようなものもありました・・・

一番おおぉっ と心が躍ったのは、紫のニカブ(頭にかぶる布)を揺らして楽しそうに見ていたイスラムの女性、を見たとき!デモのあとは音楽、軽食、女性の闘いを扱った映画上映が真夜中まで続いたそうな。タフだなー

写真を撮って気づいた、教会の屋根に鳥のオブジェが!

公式ロゴ

RTSによるこの日のレポート(フランス語)

https://www.rts.ch/info/suisse/10504384-des-centaines-de-milliers-de-femmes-ont-pris-part-a-la-greve-nationale.html

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