線路&川と平行にある道には観光案内所があります。そのちょっと先、東(右)側に開けたところがあります。
こんな感じに。
この緑の草地の中、赤の点をつけた小道がBundesrat Adolf Ogi Strasse(閣僚 アドルフ・オギ通り)です。
Adolf Ogi氏は1987~2000年の間、閣僚を務めて現在でも彼が所属していた政党の支持者を超えて、当時を知る万人に人気の人物です。この方が何で有名かというと・・・
1980年から2000年にかけてヨーロッパを南北に縦断する交通量は10倍に増えました。1980年後半から1990年初めにかけて、スイスは交通(車)の抑制を、EC(のちのEU・ヨーロッパ共同体)はスイスに対し、ゴッタルドやLotschbergに高速道路を、もう2~3本つくってくれ、との要請しました。
それに対しNRLA(New Railway Link Through Alps、Neue Eisenbahn Alpentransversale)構想のもと、既存のトンネルの数百m下ーーーつまり標高400~600m程度の低いところからトンネルを掘れば既存のトンネルのようにGöschenenやAirolo、KanderstegやGoppensteinといった標高1000m前後まで車や鉄道車両がえっちらおっちら上らないで済むのでは?ただしトンネルはすご~く長くなるけど。というわけでゴッタルドトンネル57㎞、Lötschberg34㎞の両Basis(基底)Tunnel(トンネル)と相成ったのですが。
で、トンネルを掘るには金がかかる!のでアルプスを通過する重量トラックに課税して、そのアガリで高速鉄道を作ろう(1992年Kilometer-based Tax)!アルプス越え輸送は車から鉄道になるべく転換しよう(1994年Alps Initiative)!車両を制限しよう(1998年Traffic Transfer Act)。と、数々の国民投票を経て(前にも書きましたが国民投票で可決させるのって難しい)、鉄道トンネル構想を実現させたのがOgi氏だといわれています。
なんでも、道路作ってとねだったオランダの閣僚をヘリコプターに乗せてアルプスを上空から見せて、ここのどこに高速道路つくれるってんだよ、と言ったとされる・・・Lotschberg Basistunnelは1本目のトンネルの400m下を1999年から工事し始めて2007年から運用開始。でもお金がなくて(ゴッタルドにお金をつかったので)今はまだ1本しか線路がなく、2本目は今年から工事を始めて2028年に完成予定。
Ogi氏は1993年と2000年に大統領を務めました。スイスでは7人の閣僚が1年任期(1月1日から12月31日まで)で順に大統領になります。
1999年12月26日、ヨーロッパを強力な台風が襲いスイスでも大きな被害を被りました。Ogi氏は2000年1月1日の就任演説を出身地のKandersteg、現在のAdolf Ogi通りの西端で行い、強風への抵抗のシンボルとしてモミの木の苗を植えることを約束しました。そのモミの木が20年経って、すっかり大きくなりましたとさ。
Adolf Ogi通りを進むとOeschnensee Oeschnen湖へのロープウェー駅に着きます。そのまま湖まで歩くのも可。ということで歩きます。