Via Salina（12）Sentier de Sel（塩の道）＠スイス

太緑の線に赤丸がついてるのがSentier de Sel

Sentier de Sel（塩の道）＠スイスです。以前（今年の5～6月にかけて）、フランス東部のArc-et-SenansとSalins des Bainsにかけて、製塩所と塩鉱山とその2つをつなぐ輸送管周辺を歩き回った記事を書きました。ここで精製された塩はスイスにも輸出され（過去形）その道筋はVia Salinaハイキングトレイル、フランスとスイスの二か国にまたがるロングトレイルとしてとして整備されています。

前回までRocheーAigleーOllonとVia Francigenaを歩きましたが、その間しつこく出てきた製塩の話、Via Francigenaコースのすぐそばを通ってるSentier de Sel（塩の道）がなかなかに趣深いのでご紹介！ということでフランス編に続いてVia Salinaの１２回目です。

出発はPlambuit（プランビュイ）駅（標高803ｍ）、Aigle駅からTPCの列車で。AigleからPlambuitの先のSepeyまでの区間、Grande Eau川が流れる深い谷の東側を線路があるのですが、とにかく崖と言って差し支えないような垂直に見える斜面の端ギリギリのところに線路がへばりついていてスリル満点。実は今回のコースを歩いたのは2021年9月上旬。2021年の夏は雨が多く、ヨーロッパ各地で土砂崩れ被害が報じられた年です。この路線もPlambuitの次のExergillodの先で線路が埋まるか流されたかでExergillod止まりとなり、Sepeyに行く便は長いことバス振替が続きました。

そんな状況でPlambuitまで行こうという奇特な乗客は私一人（Sepeyより手前は人家も僅か）。一両編成、運転手さんに手を振ってもらって無人駅に降りる。

線路を渡って反対側の斜面の道をどんどん上って行きます。

このSentier de Selでは頻繁に解説板が出てきます。「Pourquoi du Sel？何で塩？」何故この山の中に塩というもっともな疑問。それはね、今から2億年前、ここスイスは海水で覆われてたから！その後、プレートテクトニクスとやらで地殻が押されてアルプス、山が出来た際に海水の塩分が山塊中に閉じ込められたわけです。

線路がある所から、左側の道まで上って行きます。

あっという間に線路がずっと下に。結構な斜面です。

しかし道幅は十分あるので大丈夫。

駅から20分、地図で「947　Salins」とあるところ。Salinsはお馴染み、製塩所ですよね。1554年、ここから200mほど下方のPanexで最初の塩源が見つかり、岩塊に人がやっと通れるギリギリの坑道を手作業で掘りました。長さ60m、幅20m、高さ2m。掘り出した岩塊は2400立方メートル。

Maison du facteur des Salines、Salins sur OllonまたはMaison de Salinsなどと呼ばれる1721年に建てられた建物は、塩事業を管理する役人や製塩に関わる人が住み、隣接して塩水を濃縮する巨大な装置（graduation 英語だとグラデーション）がありました。塩を取り出すにはRocheの製塩所（1582年から）で薪をくべて焚き、水分を蒸発させますが、Rocheへ輸送する前に塩分濃度をあげるための装置です。巨大な水槽に藁を詰め、そこに塩を含んだ源水を通し、土などが藁に付き塩分濃度が若干上がるそうで、スイスだけでなくフランスの製塩所にもありました。Graduation装置の跡、石積みの柱が残っているそうですが私は未見。