スイスのパン(1)パン屋とスーパー

スイスの生活

ドイツやフランスに行って思うのは、これらの国では町中にパン屋が残っていることだ。独立系にせよ、チェーン店にせよ、スイスに比べるとずっと。時にはそれほど大きくない町にも複数軒。

大型COOPのパン売り場。ここでは奥でパンの成型、焼き上げや注文に応じてのケーキ作りもやっている

以前はスイスでも、小さな村でも大抵の場合、パン屋が複数軒あったそうだ。パンやお菓子に加え、金曜日には週末に家庭でお菓子を作るためのパイ生地も並び、知人曰く、3軒あるパン屋のどこのパイ生地か食べてすぐ分かったという。今でもパン屋は(喫茶部を含む形態のところも)夏や年末に数週間と言った長期休暇をとることも多いが、複数軒あるパン屋がそれぞれ休みをずらすことで、周辺住民は年中無休でパンを手に入れることが出来た。今は近所で一軒だけのパン屋が休みに入るとちょっと困る。でもまあ、私は普段はスーパーでパンを買っているので不便はない。ほとんどの人はそんなものじゃないかしら。

 

その知人によると、60年ほど前まではCOOPやMIGROSではパンは扱っていなかったそうだ。COOPとMIGROSは現在のスイスにおけるスーパーの二大巨頭。大都市から小さな町まで(ほぼ)寡占状態でスイスに住む人の生活を牛耳っている。しかし60年ほど前までは、大きめの”epicerie”、雑貨店といった店の風合いで、パンは売っていなかったそうだ。パンはパン屋の専売特許だったのだ(過去形)!

しかしCOOPとMIGROSがパンを売り始めると、パン屋は次々に店を閉じた。複数軒あったパン屋が一つもなくなった村が多かった。明るいスーパーの棚に並ぶパンに何故か人々は魅かれた。大きな、何でもそろうCOOPもMIGROSも人々の憧れだった。

そもそもパン屋の仕事は大変だ。大抵のパン屋が今でも朝6時から店を開けるが、そのためには生地の生成や発酵を夜中に始めなければならない。どう頑張っても価格面で太刀打ちできない(これは50年前も今も同じ)。

ちなみに、高級チョコレートのLäderach。経営が成り立たなくなって廃業した、Glarus州近辺のパン屋職人を大勢、チョコレートづくりに雇用し、急成長した。そういう目利きもいたのだ。

食パンも

スイスのパンはスーパーで売っているものでも相当美味しい、と私は思う。生地を練ったり発酵させたり成形させる部分までは自社工場で大量生産されることが多いが、焼き上げは必ず各店舗で行われる。店のパンコーナーの近くにパン焼き機があって、店によっては「今日のパンは○○が焼きました♡」とか貼ってある。タイミングによってはまだ温かいパンも手に入る。COOPやMIGROSでも、大型の店舗では店舗内で、焼き上げ以前の段階から始めているように見える。しかもお客さんから見える、オープンスペースで。

ALDI、Lidlなどの新規参入のスーパーでも、パンの焼き上げはそれぞれの店舗で行っているし、「パンが更に美味しくなりました」「力入れてます」的な宣伝もしている。

私の個人的なナンバーワンは、ローザンヌのMANORのパンコーナーだ。同じMANORでも他の店舗のとはちょっと違う!味も品揃えも。

同じ系列のスーパーでも、すぐ隣の町の店舗でも扱うパンの種類も違っていることもあり、売り上げ調査や新製品の投入など、パン市場では本当に熾烈な戦いが行われているのだと確信している。大型店だけでなく、小規模店でも種類がとても多いのだが、少しずつご紹介する予定。

 

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