毛糸の話、編み物の話

スイスの生活

Manorの毛糸コーナー

昨今のスイスでは編み物愛好者はそれほどいないと思う。Albert Anker(1831~1910)、19世紀のスイスの庶民の日常を描いた画家だが、彼の特に子供たちを描いた絵の展示を観に行ったとき、子供たちが実に良く編み物をしているのが印象的だった。しかし現在のスイスに廉価な衣服の大量消費、大量廃棄がすっかり入り込んでいる。つましかったハイジの世界はどこへやら。手編みのニットを着ていると、かなりの確率で感嘆される。

冬のセール。靴下用の毛糸

毛糸を売る店が一軒、また一軒と減る一方、地元産の羊毛を手作業で染めて・・・と高級化に走る毛糸もちらほら目にする。有難いことに「普通」の工場産の毛糸もしぶとく売られている。COOP CITYとかMANORなどの大型店舗ではまだ手芸コーナーを確保してくれている。量産品として売られてる毛糸の特徴としては、ウール100%ではなく化繊が混じっていて「洗濯機で洗えるタイプ」が多いことかな。

しかしスイスで売ってる編み物用の毛糸、値段が高いくせに品質が???である。ちょっとした体験を一つ:

日本産の毛糸。本体から中身の塊を少し出し、中から引き出しながら編む感じ

日本で編み物をしていた時分、糸端は中からこうして出してひっぱって編んでいた。

スイスで買った毛糸。靴下用なので細めですが。中身を取り出したら、それが絡まっている

しかし、スイスで買った毛糸、日本でやってたように中から引き出して編んでたら、途中、中でどうにも絡まって大変なことになった。どうしようもなくなって途中の糸を切って切って切った。冬の高級リゾート地にある毛糸屋で買った(そう、未だにそういった場所には毛糸屋がある)、それなりに高かった靴下用の毛糸だっのに。靴下用のだから細い糸ではあったけど。

絡まっている!これを無理に内側から引っ張ると大変なことになります

スイスで売られていても、生産国はスイス以外でイタリアとかドイツだったりするけど。それからは外側から剥がすように糸を繰り出すようにしている。日本産の毛糸は極細のモヘヤであっても、中から引っ張ってスムーズに引き出せるのに・・・素晴らしい、日本の毛糸。編み物道具もね。

こちらはCOOP City

スイスなどのヨーロッパ、よく言われるのは外は寒いけど建物内は常に暖か。だから100年前はいざ知らず、少し前まではそれほどニット類の必要を感じなかった。しかしコロナ禍以降、日本ほどではないにしろ換気をするようになり、ロシアのウクライナ侵攻以来、高騰した電気料金のせいか、場所によってはそれほど暖房が効いていない。映画館などは下手すると一旦脱いだコートをまた着込んだりする。

靴下用の毛糸が大きなスペースを占める

そんなこともあり、スイスに来てからは靴下ばかり編んでいた私の中で、大物編み物熱が再来。30年以上愛用したベネトンのカーディガンがついに穴だらけになって手放したことも一因(ああ、あの頃のベネトンの品質は本当に良かった)。ネックから編んでとじハギ無しなど、編み物の世界も数十年前とは随分と変わったし。

30年以上前に編み上げて、ものすごく暖かいけど重くてほとんど着なかった思い出の超大作セーターをほどいてカーディガンに編み直した。ある意味これも断捨離か。来年は、高校の家庭科の時間に縫い、機会があるかもとスイスまで持ってきて一度も出してない手縫いの浴衣をほどいてワンピースにしよう!

洗えます!の表記がある毛糸も多い

10代、20代の多くの時間を手芸に費やしてきた私。あの時間を他のことに使っていたら、と振り返ってちょっと後悔したこともあったけど、あの頃の経験が今頃になって役に立つとは、と感慨。

そういえば、ノルウェーのそのまた北にあるスピッツベルゲン島についてテレビで放送していて、そこに住む人々のセーターがとても個性的で素晴らしかった!

写真は2026年1月

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