市町村のワイン

Lausanne市庁舎

その昔(今もかな?)教会や修道院は広大なブドウ畑を所有してワインを作っていました。ワインはキリスト教の宗教行事に欠かせないのです(キリストの血ということで)。その後、司教や教会のものだった不動産や財産、そして権力の多くは今の行政府、自治体に移りました(ぶんどった)。ブドウ畑とワインつくりのノウハウとともに。

Lausanneのワイン。旧バージョンのデザインラベル。一番下、赤と白のが市の紋章。

また教会以外でも「城」-スイスの場合は有力者の屋敷程度の規模ですがーに付随するブドウ畑も屋敷とともに新政権に接収されました。というわけで、現在でも多くの市町村が自前のブドウ畑と醸造施設で自前のワインを作っています・・・

新バージョンのデザインのラベル

Lausanneもブドウ畑&建物を5か所所有しており、名称もAbbaye(大修道院)de Mont、Château(城)Rochefort、Clos des Moines(修道士の土地), Clos des Abbayes, Domaine du Burignon。大聖堂がある現在のLausanne市からかなり離れたところにもあり、司教権力の強大さがひしひし。

Lavaux範疇になる、ワインで名高いDezaleyにあるClos des MoinesもLausanne市のワイン畑。通った時にLausanne市のマーク入りのトラックが停まっていたこともあった。

1803年より続く伝統として、12月の第二土曜日には市庁舎の市議会用の会議室でセリ(Mise aux enchères publique des vins)があり、それに先立ってその週の金曜日(水・木もかも)市庁舎の地下にあるスペースで試飲会があります。試飲するのはセリにかけられる年のではなく(12月ではまだ早すぎる)前年以前のワインですが、おつまみもあって楽しい。

Clos des Moines、4haの地に主に白ワイン用のChasselasを栽培。Lausanne所有といっても1536年にまずBernが接収。LausanneがあるVaud州は長い間Bernの支配下にありました。

セリは一般人も参加できるけど真剣スピード勝負なので素人にはちょっと難しい。ワインは市のHPから購入できるし、COOPもセリの常連で大量購入しているので、大きめのCOOPに行けば市のワインが一本からでも気軽に買えます。

Morges市のワイン

COOPでは各地の市町村ワインが結構豊富で、私が利用していたLausanneの大型店で他にもMorgesの市ワイン、遠くチューリッヒのも買ったことがあります。

Morges近辺のブドウ畑は斜面がなだらか

Lausanneのすぐ東隣のPullyでは、普段から市のワインを市役所毎週木曜日の夕刻に試飲販売(現在はコロナのため試飲はなし)、市役所の窓口で常時販売をしています。

Pullyの市庁舎前の広場

また秋には市庁舎ホールで試飲即売会(コロナ以前)。Lausanneの試飲会場が歴史を感じさせる地下蔵の狭いスペースでの立ち飲みスタイルだったのに対し、こちらは広々した会場に長テーブルがたくさんあって、皆さん入り口の外に出ていた屋台から食料を買い込んで盛り上がっていました。季節がら焼き栗とスープがあったのを覚えています。

Pullyは市庁舎の隣、教会の裏手に湖が眺め渡せるスペースがある。Pully市所有のブドウ畑は全てPully市内にあるそうだ

自治体のワイン、セリはLausanneやPullyだけではなく他でもあります。教会があるところにはブドウ畑あり、ですね。スイスの26の州全部の州で有名であるかどうかはともかく生産があるそうです。

Lausanne市のワイン

https://www.vinsdelausanne.ch/

Pully市のワイン

https://cave.pully.ch/fr/accueil/

Morges市のワイン(1547年より自前のブドウ畑)

https://www.domainedelaville.ch/

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