スイスとフランス、スイスとイタリアとの国境線が少し移動します(9月27日発表)
あのマッターホルンがある山稜はイタリアとの国境線の一部となっています。スイスの山岳部での国境線の多くの部分は分水嶺と重なっています。分水嶺とは降った雨水が異なる方向に流れる境界のこと。分水嶺は至る所に存在します。日本列島では、太平洋側と日本海側に分ける大分水嶺の連続線が中央分水嶺。
氷河や万年雪が融けることで地形、山の頂の形が変わると分水嶺も少し変わり、国境線も変わります。ほんのちょっとだけど。
今回はマッターホルンの近くにあるTête Grise (Plateau Rose), Refuge Carrel, Dos de Rollinの3か所で、氷河や万年雪が融けたことにより分水嶺が移動し、国境線の若干の移動となりました。今後も氷河の消失に伴う地形の変化が続くことが予想されています。
また、フランスとの国境線が関わっているのがジュネーブ州。まずは上の地図の右上の湖畔にあるHermance。
ここではL’Hermance川が国境線になっています。これまでの河川事業によって真っすぐに変えた流れを、流域の湿地を復元させたり蛇行させたりするなどの元の自然に近い形に戻す自然再生事業による川の流路の変化に伴い、国境線も少し移動します。
同じくジュネーブ州のForon川。こちらは州の東南端。
赤点線がForon川。Foron川はフランスの標高1480mの地を水源とし、西側に流れ、下流8㎞がフランスとスイスの国境となりThonexでArve川に注いでいます(地図の左下)。
Foron川。東側から流れてきて、その辺りは国境線にはなっていませんが、地図左端のAnnemasse駅近くで国境線と重なり、
下流でArve川に注ぐ所。Foron川も自然再生工事と護岸工事で川の流れが少し変わるので国境線も少し変わります。(ほんの少し)
最後はジュネーブ州の最南端、Perly-CertouxとフランスのSaint-Julien-en-Genevoisの間。トラムの新線を建設するために、国境線を少し移動させ、両国の間で同じ面積の国土を交換するそうです。
Swisstopo(スイスの国土地理院みたいな機関)のサイトでの発表:https://www.swisstopo.admin.ch/fr/le-conseil-federal-approuve-la-signature-de-la-convention-portant-rectification-de-la-frontiere-avec-litalie
RTSの報道:
20minの記事から
Foron川についての周辺自治体Thonexのサイトからパンフレット(内容充実):
https://www.thonex.ch/wp-content/uploads/2016/12/fiche-riviere-foron.pdf