スイスの政治:12月7日、2名の新しい閣僚が決まる(1)

スイスでは7名のBundesrat(独)/Conseil fédéral(仏)/連邦参事会が内閣を構成し、7つの省のトップの座について名実ともにスイスの政治の長として、国民生活にも直結するあれやこれやを決めている(最終決断をしている)。

任期は4年だが、新任時に「選ばれ」ると、以降は「再選(ほぼ信任投票)」されることがほとんどで、一度任命されればば自分で辞めると宣言しなければ大概の場合「再選」され続ける。実際、1848年に制度ができて以来2021年の去年まで、再選されなかったのは4回(4名)のみ。一度辞めると再選はなく、数人を除いて政治から身を引いている。

大統領にあたる役職は一年任期(1月1日から年末まで)で、この7名からの輪番制。古くから任にある順に回ってくる。つまり5年位待っていればほぼ確実に一度は「大統領」になれる。大統領だからと言って他の6名に比べて特別に権力が強いわけではないが、国の頭ではあるので外国を訪問してその国の王様や女王や天皇に面会するなど普通じゃできない体験ができる。日本の報道で取り上げられることはあまりないが、スイスの大統領、時々日本を訪問して、相撲部屋を訪問したり築地に行ったりもしている・・・去年の大統領は東京オリンピックに合わせて訪日するも政府専用機だか軍用機だかが故障して引き返し(おいおい大丈夫か?)、急遽民間機に乗って日本に到着するも大幅に遅刻しため天皇陛下拝謁には間に合わず、でもオリンピックの開会式には間に合った~というツイートをしていた・・・

スイス独特の変わったところでは、この7人の所属政党が4つの異なる政党からなっていることだ。しかも右派から左派までまんべんなく。日本だと自民党と社会党とその中間の2党で協力して内閣を運営しているようなものかしら。最右政党(極右ではない)と最左派政党の党方針は時には真逆だったりするけど、内閣メンバーになった以上は所属政党の方針に反していたとしても内閣としての言動が求められている。

選挙結果からして、一つの党が過半数を取ったり、二大政党が交互に政権を担当するわけでもない。例えば全連邦議会議員(二院制)中、4大政党の議員の人数は右派から左派へ、順に62人、41人、44人、46人(数え方に異論あり)。前回の選挙ではここに環境保護を訴える政党が躍進し、緑の党の35人とリベラル緑の党の16人が加わった(その分を既存の左派政党が割を食った)。現在の閣僚の割り当ては上位4党からそれぞれ2、2、2、1人で合計7人。躍進した緑の党が閣僚への参入を求め、その年の閣僚選挙(誰も辞任しなかったので再選信任選挙)に挑戦したが牙城を崩せず・・・

この辺りまでは一度書いたことのある内容が中心だが、2022年9月末、そして11月初めに2つの政党にそれぞれ所属する閣僚2名が辞任を発表し、12月7日に行われるBundesrat(Federal counsil)選挙に向け、後任の候補者選びがスタートした!この候補者選びというのがまた摩訶不思議なバランスを最重視するというスイス独自の考え方、選び方でして、次回はその考え方と経過について。

当ブログから、「政治の話を少し

スイスで暮らす人の気質

2019年のスイスの総選挙

他州不干渉の原則

Bundesrat内閣について連邦政府のサイト:

https://www.admin.ch/gov/en/start.html

議会について議会のHPから:

https://www.parlament.ch/en/ratsmitglieder?k=*

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