スイスの宗教(番外編)Parrainage 後見人制度

Parrainage(フランス語)、英語ではGod father ゴッドファーザー制度について。日本語では名付け親と訳されることもありますが、今は実の親に代わって名前を付けることはほとんどないでしょう。代父、教父、洗礼親、後見人が近いと思います。

Eglise Saint-Pierre d’Engollon

Parrainageでは、parrain(代父・教父)とmarraine(代母・教母)がそれぞれ後見人として依頼されます。以前は生まれてすぐのbaptême(洗礼)とconfirmation(15歳くらいに行う、一人前のキリスト教徒ですよ、大人ですよの誓いの儀式)の際の付き添いとして必須でした。対象となる子供(男はfilleul、女はfilleule)の信仰の道を助ける存在というわけでキリスト教と結びついていますが、社会保障制度が整備されていなかった時代に実の親に何かあった際に後見人として成人するまで面倒を見てくれる大人としての役割がありました。宗教色がだいぶ薄まった現在でも、任意の存在だけど続いている習慣のようです。

中のフレスコ画がきれい

parrain、marraineは大抵は親の兄弟姉妹か友人から男女一名ずつが依頼されます。元々は実の親に何かがあった場合の切実な保証人でしたが、現在では誕生日などの祝い事(洗礼などのキリスト教関係の祝い事を含む)に臨席してお祝いを送ったり、定期的に一緒に泊りの旅行に行ったりもします。昔と違って核家族化が進んでいるので第三者として親より少し距離を置いて見守る役割もあるそうです。filleul、filleuleの結婚式に呼ばれたり、年老いたparrain、marraineを世話になった「子」が見舞うなど、結びつきは相当強いです。

両親の離婚、もしくは子供が生まれても籍を入れないし、子供がいても別れてしまうことも多い今、双親が疎遠になった場合、その友人であるparrain、marraineとの関係がどうなるか。かわいがってきたfilleul、filleuleとの関係をどう継続すべきか、などの人生相談が時々紙面に取り上げられています。

天井画

さて知人(50代女)は子供時代の誕生日にはparrain、marraineから将来の嫁入りに備えて「食器セット」と毎年一品ずつもらっていたそうです。、つまりある年にはスープ皿12枚、次の年には銀のフォーク12本、その次の年にはコップ12客・・・こうして年頃までにはお客様を迎える食器一式が揃うわけです。彼女の男兄弟は誕生日に鉄道模型などのおもちゃをもらっていたのに自分は子供には全く面白くない物しかもらえなかったので悔しかったそうです。でも50年近くたった今も銀器は彼女の家で活躍していました。

parrain、marraineの選定と依頼。知り合いの90歳は60年以上前の看護婦時代に小さな診療所で一人で夜勤をしていて赤ん坊を取り上げました。聞けば6人目の子供、「じゃあmarraineを探すの大変よね、私がなってあげようか」と生まれた子のmarraineになったそうです。

なお、parrainageには今回書いた例のほかにフォスターペアレントとも呼ばれる発展途上国の子供に毎月送金したり手紙を書くことで交流するシステムや、スイスに来た難民の子供の後見人になったり(里親に近い)、観光地の「応援団」など広い意味でも使われます。

場所はNeuchatel州のEngollon。町をちょっと出るとこんな感じ。

今回の写真の教会があるのはNeuchatel州のEngollon。撮ったのは2014年1月なのでStratusで重苦しい天気でしたが、歩いてる途中にたまたま入った教会で極彩色のフレスコ画に出会うと嬉しい。Engollonは2番のハイキングロングトレイルTrans Swiss Trail上にあります。NeuchâtelとChézardの間、Chézardから一時間。バスは通ってないかも(追記:調べたら通っていた!)。

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