スイス映画「Die Schweizermacher」

「Die Schweizermacher」はRolf Lyssy 監督で1978年公開。当時総人口が650万人だったスイスで100万人の観客が入り、タイタニックに抜かれるまで20年近く、スイスで一番客が入った映画でした。つまりスター・ウォーズもジェームズボンドのどの映画よりも客が入った。しかも家族総出で見に行ってゲラゲラ笑ってたそうな。私は数年前にフィルムセンターで見ました。周りが大笑いしてる中、苦笑しかできなかったのではあるが・・・

Die Schweizermacherとは(フランス語ではLes Faiseurs de Suisses)「スイス人を作る人」という珍妙なタイトル。チューリッヒの警察に勤める2人は上司と新入り。スイス国籍の取得を申請した「外国人」の家庭訪問や日常の行動をチェックして、国籍取得審査会での面接までにデータをまとめるお仕事をしています。

二人が追跡調査をするのは3組。裕福な医者であるドイツ人夫妻、ユーゴスラビアのダンサー、それに菓子店に勤め、つつましく暮らすイタリア人。このイタリア人は妻はスイス人で2人の子供がいます。この当時、スイス人の男と外国人の女との結婚では結婚時に無条件で外国人の女にスイス国籍が付与されました。その心は結婚している二人は同じ国籍でなくてはならない・・・ところが、スイス人女と外国人男の夫婦の場合、外国人男に無条件にスイス国籍が与えられることはありませんでした。ものすごい男女差別ですがそうでした。

で、国籍取得申請者たちは「スイス社会に溶け込んでますよ」「スイスの文化に通じてますよ」とかアピールするし、警察側の二人は申請者が「よきスイス市民」であるかなどをチェックするわけです。映画では彼らのお役所仕事ぶりとか良きスイス人ってなあに?などと問うてくるわけで、そこが滑稽。

さて、当時のスイスがとても警戒していたのはイタリア人の労働者によりスイスに共産主義が持ち込まれることでした。スイスに共産党ないんですよね。それにスイスで「デモ」が起こったのは100年以上前に一度きり。

菓子職人であるこのイタリア人、家庭訪問時には「あ、イタリアの地図が貼ったままだった。しまわなきゃ!」とかやってるわけですが、それよりも彼が労働者の集会に参加しないかどうかとかもチェックしてます。イタリア人労働者&家族は元々故郷の文化や食べ物、サッカーや音楽などの趣味からクラブを作っていましたし、スイスの職場での待遇改善を求めて集ってもいました。

さてこの3組の運命はいかに?コメディ映画なのでスリルやサスペンスなどはないですが皆よく笑ってたなあ。このスイスに住んでいる人がスイスについて自虐的に笑ってたわけで、これ他の国で公開しても受けないだろうなあ。

この映画、多分スイス国内限定のプラットフォームPlay Suisseで無料で観られます(2022年1月確認)。

Swissfilmsデータベースから

https://www.swissfilms.ch/en/movie/die-schweizermacher/84BD66A7EC714302BA5250BF6D0006D5

フランス語ですがRTSの特集記事。この日曜日のラジオ番組のあと、ローザンヌのシネセンターでその映画が公開され、私は観に行ったのだった。

https://www.rts.ch/info/culture/cinema/10191162-les-faiseurs-de-suisses-le-film-le-plus-celebre-du-cinema-helvetique.html#chap06

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