スイスで住居を新築・増築・改築する際には役所に届けを出しますが、役所はこの建築計画を公にして周辺住民からの意見を問います。
まずは予定地にこんな風に棒が立ちます。新築の場合は更地に、取り壊す前の建物が残っている場合はこんな風に。
この建物の輪郭を示す棒をgabarit(フランス語)と言い、設計図通りに取り付ける専用業者がいます。これって予算節約のために自分で出来るかというと、屋上に一階分増やすとか、田舎のポツンと一軒家の増改築などでは木製の棒のも見ますが、街中では専用の業者による金属製の棒が一般です。
だってね、ものによっては5階建てくらいの高さまである棒ですよ。(と、もっとずっと高い高層建築のビルの時はどうするんだ、とふと疑問に思ったが、それは知らない)
しかも反対意見が出て長引くと、棒が立ったままで数年放置なんてことも多々あるんですよ。風雨にさらされて数年。棒が倒れて周りに被害があったらえらいこっちゃ!どういう技なのか知らないけどちゃんと立ってます。この棒、建物の外周や高さだけでなく、屋根が三角に張り出しているとか出っ張ってるかなどもわかるように表現されてます。
そして棒のそばにはこの通知。Enquête publique、ご意見頂戴の貼り紙です。内容の一例:「住宅2棟の建設。屋根には太陽光発電パネルを設置。暖房はヒートポンプ方式。車6台と二輪車9台用の駐車スペース。ゴミ出し用のコンテナ設置。」写真画面の下には問い合わせ番号が書いてあり、内部を含む図面などの詳細は期間中市役所に行けば閲覧できます。
アンケートの期日(たいていは一か月)までに反対意見がなければ建設OKとなるわけですが、結構ここで足止めを食らって数年膠着状態とか白紙撤回というのも珍しくないです。このEnquête publiqueの貼り紙は家の新改築以外にも工事関係でも貼りだされます。また、州によっては登録すると希望する市町村の新築改築を含む工事に関する情報が逐一メールで送られてきます。住んでない場所に関しても申し込めるので、これから引っ越す先の建設計画を把握するにも使えます。
なお、前回建物が頑丈にできてるから数百年持つかも、と書きましたが、それでも定期的に手入れやリフォームはしないとボロボロにはなります。そんな建物は値段も安くなるので、古くてボロボロの家を買って少しずつ自分でリノベーションする人も多いです。
内部の改装はともかく、外壁の色を変えたりバルコニーを付け加えるなどの改造は、ある程度古い建物では一般人の家でも歴史的建造物扱いとなり、許可されないこともあるそうです。