スイスの若者の就職事情(10)労働時間は自分で決められる(かもしれない)

Lausanne(ローザンヌ)では町中心部から少し離れたところに1960年代から70年代にかけて集合住宅が建てられ、それに伴い複数の建物からなる大型の学校が造られました。Groupe scolaire d’Entre-Bois

(5月2日18時 写真追加しました)前回スイスでは終身雇用制ではなく、簡単に解雇される、と書きました。一度失業中にある50代のスイス人に、それについての意見を求めたところ、終身雇用制度と退職時の退職金(これもスイスでは一般には無い)は羨ましいけど、それでも今のところスイスの経済は(他の国に比べると)良いから仕方がないかな、と言っていました。失業率、これも計測方法は国により異なるので比較は簡単ではないですが、それでもスイスの、特に若年層の失業率は低いです。

Collège d’Entre-Bois 1969年築

近年日本で問題となっているのが正規と非正規の二つの雇用形態があって、人員調整が主に非正規労働者によってなされ、正規雇用なら安泰と思われていることでしょうか。スイスの場合、日本のような「正規/非正規」の別はなく、たとえ大企業でも一生安泰の保証はなく、また住居手当や通勤手当など諸手当がつかない!これらの諸経費は就労にかかわらず老若男女全員が行う毎年の確定申告時に自己申請して、それによって税金の減免が少し期待できるくらいです・・・厳しい。

Collège d’Entre-Bois 校舎の中央が中庭になっている

スイスの場合、不法労働や内緒のバイトーこれは統計には出ないーを除き、基本的には全てが正規労働となり、確定申告時の申請義務が生じると思います。私が個人に対し週3時間の仕事をしていた時、契約書を交わし、雇用主(個人)が雇用者に対して労働時間中に起きる(かもしれない)事故に対する保険に加入しお役所に届けました。年金番号(これだけは州をまたいで生涯不変、マイナンバーですな)を控えられて給与から年金や失業保険の掛け金が引かれてました。この届出は雇用主の義務なので私はよく知らないのですが、契約書は何ページもあって細かく取り決めてありました。

Collège d’Entre-Bois 校舎の中央が中庭になっている 

さて週3時間でも契約。そしてスイスの場合、フルタイムで働いていない人が多いのです。一日8時間で週5日働くとして週40時間労働が100%、これを90%にして金曜日の午後から毎週実家に帰ることも可能です。週3日で60%としたり、週5日午前中だけで50%など、様々な労働時間が存在しており、複数の職場を掛け持ちして給与の不足を補うことも可能です。100%じゃないからと言って重要な仕事を任されないとかそういうことではなく、働き盛りとされる年代の男性でもあえて80%という例も珍しくないです。%が少なければ、労働時間が少なければ当然給与も減りますが、何を重要視するかは本人の自由です。

Collège d’Entre-Bois 

先日読んだ記事で、職業訓練を終え国家資格を得て、50%の職について自由時間を世界選手権へのトレーニングに充てている若者の話がありました。こういうことが可能なのは職業訓練を経て一通りの仕事ができる(ことになっている)からです。新卒の未経験者に会社の社風から始めて仕事の手順を一から教えるのだったら朝から晩まで先輩がべったりくっついてないと難しいでしょう。記事の若者は世界選手権(ゲーム関係のだった!)や競技人生を終えたら、もっと労働時間を増やしたり違う職場に移るのではないでしょうか。いずれにしても、50%でも働いた経験は将来のキャリアに生かせます。

Collége de Bellevaux 1933年

求人には職種とともに労働時間、30%とか80~100%などの条件が表示されます。多いにしても少ないにしても、希望する労働時間があるとは限らないし、お金が必要でもっと働きたいのに労働時間を減らすよう求められるかもしれません。100%でいつでも働ける人が多いほうが人員の割り振りが簡単、という職種もあるでしょう。また、これは近年顕著なことですが、「簡単に解雇されてしまう」ことから成果が求められる仕事の場合は契約書にある労働時間に関わらず職場に夜遅くまで残ったり家での持ち帰り仕事をする人も増えてきているそうです。

Collège de la Rouveraie 1969~1972

一方、規定時間以上に職場に長く残ったからといって感心されて、憐れんでもらって長く雇ってもらえる保証は全くなく、だったら早く帰って自分の時間を楽しんだほうが良いのでは?同様に有給休暇は100%消化するものとされています。休まず働いても評価は上がりません。有給は年に5~6週間、実際皆さん週単位で取りますが、祝日が日本よりずーっと少ないのと、日本のお盆休みのような祝日ではないけど慣習上休みになる日はないし、職場によっては年始年末も自分で有給を充てるので労働総日数は必ずしも日本より少なくないです。利点はほとんどの職場で自分の好きな時期にとれることでしょう。弊害は、連絡を取ろうとした担当者が数週間不在だったり、工期・納期が遠慮なく遅れる事等でしょうか。

Collège du Vieux-Moulin 1963

通勤手当が出ないこともありますが、必要な時だけ出勤して、家で仕事をする事も広く認められています。部下がさぼらないよう監視していなければ不安な上司もいましょうが、仕事内容が悪けりゃ遠慮なくクビにできる国ですから。厳しいのう。

5月1日撮影 ライラック

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