普通科高校か職業訓練か、15歳での選択が人生の大きな分かれ道なのは間違いないです。なるべく早く将来への職業意識を持て、と言われても、15歳じゃわからないことが多い。今までの話では「学校の勉強が不得手」な人が職業訓練で花開く、というイメージがあるかもしれないですが、学校の勉強ができるからといって普通科高校へ行く義務はないのですね。SwissSkillsのサイトに載ってた普通科高校を経ずに弁護士になった例、実話だそうです。
訳すると、Myriamは本を読むのが好きなので、中学を卒業すると本屋でApprentissage(職業訓練)を始めた。学校時代から優秀だった彼女は、職業訓練と並行して週に一日maturité professionnelle(注1)準備学校に通い、3年後、彼女はCFC(職業訓練修了の国家資格)と大学入学資格の両方を得た。
maturité professionnelleで入れる大学は école spécialisée(HES、専門的な教育を行う大学、注2)である。大学の入学手続きの際、彼女はorientation professionnelle(職業指導)の面談を受け、自分が学びたいのは法律なんだと気づいた。法律を学ぶのはHESではなく、Universalな学問を行うuniversité(HEU)である。Universitéで学ぶために一年間、Passerelleで過ごした。毎日学校に通い、数々の試験を受け、université入学資格を得た。
MyriamはHEUでの勉強を始め、3年間でBachelor(学士)2年間で法学Master(修士)となり、juriste(法学者)として働き始めた。Myriamは弁護士を目指し、裁判所で一年間Stage(職業研修)に就き、猛勉強して弁護士試験に合格した。弁護士として数年間働いた後、弁護士事務所の共同経営者となった。彼女の職業研修人生を振り返ると、「言葉」が常に中心にあった。最初は書店員として、今は弁護士として。(終)
彼女の場合、もともと「机の前での勉強」が苦手じゃなかったのと、ものすごい努力家だったからこその例でしょうが、本を読むのが好きだから本屋で働いてみるか、そんな感じでもいいんだーと気楽にもなります。本屋で過ごした3年間の実社会での経験と出会いが、きっと彼女の考え方を広げ、弁護士への夢へとつながったことは想像に難くありません。Apprentissage期間は職場で働く他に、週1~2日は職業学校にも通わなければならず、これにmaturité professionnelle準備学校にも通うのは、相当大変と聞きます。まあ、とりあえず通い始めて、無理だったら途中でやめて、まずは職業訓練とCFC取得に専念すればいいわけですけどね。職業人生のゴールがどこにあるにしても、そこまでの道は一本ではないです。
(注1)maturité professionnelle:
Apprentissageの一年目から始めることができ、その場合は3~4年で終えられる。Apprentissage終了後、CFC取得後なら週5日通って1年、働きながら週数日なら2年。Apprentissage期間中は、雇用主の許可が必要。入学試験があるし、中学での成績が良くないと入れない。言語、数学、歴史、政治などの基礎科目に加えて、理学・工学系、自然科学系、経済系、芸術系、健康科学系の5つから選べる。
これに通るとHESに入学でき、学んだ分野と関連する学問をHESで継続することになる。
(注2)haute école spécialisée(HES、専門的な教育を行う大学):
理学・工学系、自然科学系、経済系、芸術系、健康科学系の5つの分野が学べる
maturité professionnelleについて
https://www.orientation.ch/dyn/show/3309