今年の冬は暖かかった。標高370mの我が家の周辺では一度も雪が積もらなかった。雪がちらついた回数だって、思い返せば数回あったかどうかの少なさ。
庭の土、例年なら冬には凍ってしまってスコップが入らない日が数週間は続くのに(弱弱しい日差しでは午後になっても気温がそれほど上がらない)、今年はずーっと土を掘り返せてた。氷点下には滅多に下がらなかった。例年なら、雪が積もって一週間くらい融けずに残っていたり、湖や噴水が凍る事が一回くらいはあるのに。
憂鬱になるほど霧が立ち込める日も驚くほど少なかった。鬱になりそうなニュースは相変わらず多かったけど。濃い真っ白い霧の中にひと月以上閉じ込められるというのは昔話になるらしい。
近年の例にもれず、春の訪れは早かった気がするけど、もう、何が普通か忘れてしまった。覚えているのは3月下旬、イースター休暇が始まる週の頃からものすごい風、フェーンが吹き荒れ、頭が痛くなって寝込ほどだった。悲劇的だったのは、レマン湖を航行するSimplon号が、春夏のシーズンを前に試験航行中に故障で停泊した港で暴風に遭い、岸壁と船双方が損傷したこと。1910年建造の歴史ある蒸気船が危うく沈没する寸前だった!警報級の風が吹くことが分かってるのに何で出港したんだ、との非難轟轟。
4月12日からの週末は快晴で暑く、屋外でビールを飲んでいたのに、数日後からは気温が下がり始め、次の週末は最高気温が10度以下。その差20度。冬のコート、ダウンジャケットを着て出ていた。冬のキリキリとした寒さとは微妙に違うけど寒い。
人間は衣服で寒さをしのげるけど植物はそうはいかない。冬が短いので果樹の開花が早まり、それなのに4月や5月にガツンと氷点下に下がると農作物へのダメージが大きい。知り合いのブドウ農家もここ数日は連日夜を徹してブドウ畑で遅霜と闘っているけど40~80%の収量減かもしれないと打ちひしがれている・・・
4月15日、チューリッヒで春を告げるSechseläutenの最終日、パレードの後に祭りを締めくくるのはBöögという爆竹を詰めた雪だるまの像の下に火を点け、像の頭が吹っ飛ぶまでの時間から、その夏の暑さを推し測るはずが、強風で点火できず。1892年にBöögが登場して以来、初めての中止。爆発までの時間を予想して応募して当たる豪華宿泊券、あれはどうなったのかしら?
ちなみにスイスの気象庁のサイト内で、Böögの爆発までにかかる時間と夏の暑さの間には関係がない、とデータで立証してくれてます。うん、皆も何となくそう感じてたよ。
4月17~21日はPatrouille des Glaciers、軍隊の訓練用から始まった、ツェルマットからヴェルビエまでアローラを経由する3人一組のクロカンスキーレース。低温強風の悪天候のせいで、40年目にして初めて、メインレースが中止となりました・・・
RTSの特集記事:PdG40周年振り返り