スイスでの税金の話(2)とにかく容赦ない課税

年が明けると、銀行・保険会社などから前年度の締め書類が送られてきます。あるいは電子書類をダウンロードするか。

まずは収入。給与所得者だったら一年分の給与総額、そこから年金や失業保険などが引かれた後の「手取り」金額。この時点で「税引き」はされていません!

控除項目もあります。スイスでは勤務先から月々の通勤手当が支給されることはほぼ無いので、確定申告時に勤務日数、勤務地と自宅との距離、マイカー、自転車、公共交通機関などから通勤手段を選択します。昼食補助も滅多につかないので職場に社食があるかどうか、食事が必要だった日数などを申告します。仕事でのスキルアップのために費やした経費なども。

恐ろしいのは「財産」の申告。財産に課税される!

スイスにある銀行口座、それぞれの銀行名と口座番号と12月31日時点の預金額。それだけじゃない、スイス国外に所有する口座もだよ!外国通貨の場合は年末の換算レートの入力でスイスフランに換算・・・

さらに土地・建物。賃貸の場合は家賃。持ち家、マンションの場合は誰かが決めた実態とはかけ離れてることもよくある謎の評価額。住宅ローン組んでる場合は借入額。借金は減免対象になるので銀行も借り手も双方ハッピー、なんてことあるわけないけどさ!他にもクリプトマネー、現金、株券、貴金属、高価な家具、美術品、、、「馬」というのもあったな。タンス預金って申告する人いるのかしら?金目の物は売買した時に申告してないとバレて問題になるかららしい。銀行口座も土地建物も、スイス国外であっても申告すべし!!!どこまで把握されるのかは不明だけど、既に世界中の銀行口座情報は国家間で共有されているので、バレて追徴課税されると恐ろしいことになるそうだ。知り合いのポルトガル人はスイスで働くこと数十年、故国に所有する土地建物について一度も申告してこなかったが、そろそろマズいかも、バレたら追徴金が恐ろしい、と帰っていった。

他には減税対象に「寄付」とか月々ものすごく高いのに義務の健康保険料。保険対象外で全額自己負担の歯科診察料等々。そうそう最初に子供の有無、人数、つまり扶養家族について書きますね。

銀行の残高とか給与など金額を証明する書類の添付は申請時には必要ないけど、求められたらいつでも提出できるようにまとめておく・・・

給与所得が無い年金生活者でも預金や株券や不動産財産があり、減税対象になる支出もあるから、超高齢者でも毎年申請。二人暮らしをしている90代の義父・義母宅でもそうなのだ。容赦ないな。スイス恐ろしい。ずーっと続けているので当然だと疑問に思ってないみたいだけど、私は自分が年取ったら無理なんじゃないかと思う。とはいうものの、日本でもそうですよね、自分で泣きながら書類を集めて記入する人もいれば、経費を払って専門の人に全部お任せする人もいる。しかし日本であるような行政の確定申告相談のサービスは多分無いと思う。スイスでも電話相談窓口はあるけど。

前年度のファイルを読み込ませると、名前や勤務先、銀行名、口座番号など多くの項目で数値以外去年の分が出てくる。全部の数値を無事入力し終わると、来年納める税金総額の見込みもその場でわかる。それなりに便利な部分もあるけれど、長年の習慣になっているスイス在住者でも申告ストレスでブチ切れる3月初めに、納税について考えさせられる報道があったのだが、それは次回。

スイスにあった、銀行口座情報の守秘義務は2018年に終了しています:Swissinfoの記事(日本語)

(英語):https://www.swissinfo.ch/eng/tax-evasion_switzerland-to-share-banking-information-from-2018/41087378

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