2019年のスイスの総選挙

10月20日は4年に一度の総選挙。下院・上院の議員を選出します。躍進したのが環境保護を掲げる「緑」の党。下院での相変わらず最大勢力は右派保守党ですが前回より12議席を減らしました(以下-12と表記)、2番目は左派社会党(-4)、3番目が中道右派(-4)ですが、緑の党はそれまで17議席増!それまで4番目に位置していた中道政党キリスト教民主党(-3)を抜いて4番目に躍り出ました。「緑」の党のみがポイントを伸ばし、その分それ以外が後退しました。ちなみに「緑の党」はもう一つあり(後述)そちらも9議席増で6番目の勢力となりました。

ずらっと選挙ポスター。政党のも、個人のも。

スイスでは強い権力を持つ7人の閣僚を左右4つの政党に割り振る「マジック・フォーミュラ Zauberformel(独) formule magique(仏)」制度をとっています。4番目の勢力となった緑の党から新たに閣僚を送るべきという意見と、でもその場合は今いる閣僚の一人を辞めさせなければならないわけで、それに関する規定はないのでこれからの議論です。

こちらは左派「緑」の党。「あなたの未来に投票しよう」

なお、「緑」の党は急進派とリベラル派の2つがあります。4番目の勢力になったのが左派急進派のGrüne /Les Verts(+17)で、もうひとつのGrünliberale Partei (GLP) /Vert liberaux(+9)はむしろ右寄りです。2党とも環境保護を求めることは共通していますが、急進派は移民に寛容、福祉拡充、大きな政府、リベラルな社会、と考え方が社会党(2番目)とほぼ同じで、おそらく社会党支持から急進緑の党に流れた票も多かったでしょう。

Vert Liberaux 緑の党でも「リベラル」右寄り

一方のリベラル緑の党は経済政策や福祉に対する姿勢が異なります。例えば急進緑の党が汚染企業(汚染や二酸化炭素排出を行う企業)に対し断固反対するのに対し、リベラル派の方は、そのような企業からはその分税金をたんまり取ろうというスタンスも持ってます。ちょっと乱暴な分類ですが。

6月14日にスイス史上最大の動員人数を記録した「女性の権利を求めるストライキ」の記憶も新しいですが、女性議員の数も今回の選挙で最多人数を記録しました。

移民制限、スイスがEUとの協定から自由になることを目指す右派保守派。右のAssezとはenoughの意味。「(移民など外部から)スイス(人)を守ろう」とある。

なお、今回(10月20日)の選挙で全議員が選出されたわけではなく、一部は11,12月に行われる2回目の選挙で決まります。しかしあまり変わることのない(いつもバランスを求める傾向がある)スイスの選挙においては「大変動」が起こったといっていいんじゃないかな。

左のポスターには「税金なしでもやっていける」とある。いや、それは・・・

気候変動、地球温暖化は日々の生活でも感じられます。毎年のように見られるようになった猛暑、去年の異常渇水、豪雨による浸水、12月ではほとんどのスキー場に雪がない問題。この5年間で氷河の10%が消失しました。

というわけで前回書いたように建物の断熱効率を上げる工事があちこちで行われているわけですが、今後これが「義務」となったらそれはそれで悩むところも出てきます。私の知り合いの高齢のご両親は築300年の古い家で暖房は重油ボイラーを使ってます。もし断熱強化工事が義務化されて暖房も化石燃料を使うなとなったらその費用はどうすんだ!

また私が散歩する範囲でも、小振りの古い一軒家が次々と巨大な集合住宅に変わりつつあります。地域の景観に溶け込んだ昔からの建物だから、と署名集めて保存運動をしても巨大住宅計画が覆ることって稀です。住宅不足は何とかして欲しいけど、建ててるのは超金持ち用の豪華集合住宅のことが多いんですよね。そのほうが儲かるから。でスイスだと買えちゃう人もいるし、富豪かマフィアか海外からもいくらでも住みに来るんですよ。

10年前のスイスが記憶にある人にとって、変貌しつつあるスイスの都市部とその周辺の景観、今でも既に変わってますが、さらに5年後のスイスって驚きの変貌になるのだと思います。

おまけ画像。前回住宅内の室温を20℃程度に保つ義務が家主にはある、と書きました。暖房が壊れた場合には、このような応急暖房車(青のコンテナ様のもの)が来て多分温風を送り込んでいるんじゃないかと思います。冬場になると時々見かけます。

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