春の味覚 行者ニンニク・タンポポ・イチゴ

またまた食べ物の話。春の味覚といえばタンポポに行者ニンニク。色々ある中で何故にこの二つかというと、これらはタダで入手可能だから。スイスで無料!

市街地で道沿いのタンポポ 気分的にもうちょっと車や人通りが少ないところで採りたい

タンポポは葉をサラダにして食べる。春を告げるサラダでレストランのメニューにもなっている。ちょっと苦味があるので単独で食べるより何かと合わせる方が食べやすいかも。スーパーでも売っていて100gで4CHF位 、400円強。買うほどのことはないでしょ、と私はいつもそこら辺に採りに行く。舗装路の端でも街路樹の下でも、どこにでも生えてるけど、お犬様の何かがかかってないとも限らないので、もうちょっと奥まった犬の散歩の人が少なそうな所に探しに行く。あまり変わらないかもしれないけれど。そこではもしかしたら牛たちの何かがかかってるかもしれないけど、まあいいや。黄色の花が咲いてるのでは葉が既に硬いかもしれないので、その近くにある小さめの葉が柔らかそうなのを探す。

行者ニンニク取り放題(4月)

行者ニンニク(フランス語ではAil des ours熊のニンニク=冬眠から覚めた熊が食べるとの説)。季節になると、チーズやハムなど色々なものに入ってくる。私は期間限定品に弱いのでかなりの頻度で手が出る。行者ニンニクは水辺や日陰が好きで群生している。生で刻んでも何かと一緒に炒めても、ネギ代わりに使っても。ニンニクの風味が楽しめる。葉の形が似ていて間違えやすいのが、もうちょっと後の初夏に出てくるスズランや秋の初めに咲く犬サフランの葉。これらは毒性があるので注意!両者とも、行者ニンニクにはあるニンニク臭がありません。

5月になると行者ニンニクは白い花をつけ始め、そばを歩くと匂います

行者ニンニクとタンポポの葉(味は特別美味いわけじゃない)が愛されるのは季節もの、特に待ちに待った春とともにやってくる天然ものだからでしょう。春の味覚では白アスパラガスが私は好きだが、近年ペルーやメキシコ産のが年明け早々の冬のさなかから普通のスーパーの店頭に出てくるのだ。4月くらいから順次ハンガリー、フランス、ドイツ産と段々産地が近づいてくる。スイス産を除いては似たような価格、数か月間安定価格で手に入るので便利とも言えなくはないが季節感は鈍る。手頃な値段なので喜んで買うけど。

4月中旬の広告 イチゴ1㎏が半額で3.2フラン。イチゴの半額が日常化してしまってる

ちょっと前に議論になったのがイチゴ問題。2月に入るころからスペイン産のイチゴが店頭に並び、通常価格500gの1パックが3フラン強(400円ほど)のはずが、半額の安売りが日常的になっている。スイスでの「広告の品:お買い得品」は週替わり(日替わりセールはクリスマスとイースター前などのみのことが多い)、毎週のように半額が続くと産地のスペインは大丈夫なのか、これでいいのか?と心配になる。一方のスイスの地場産イチゴは初夏まで待たなければならない、が出てきても当然高いし冬場に赤い色のものが欲しいし、と「冬の外国産イチゴ」はすっかりおなじみになっている。でも季節を無視してるとか、輸送費をかけて遠くから運んでくるのはエコじゃない、とか反対論も多くて、「初夏の地場産イチゴまで待つ」と外国産イチゴを拒否する人もいる。値段が高くても地域農業を守らなければ、という動きもある。遠くから運んでくるといっても、スイスとスペインは距離的には東京で九州産ミカンを食べるのと同じくらいなのだけど。そういえばスマートフォンの5G用のアンテナの増設、健康への影響が明らかではないので凍結を決めた州があったりと、そういうところはものすごく保守的な国です。

行者ニンニク入りのBrieチーズ(Brie à l’ail des ours)

行者ニンニクとタンポポの葉がスイスで情熱的と言っていいほどに愛されるのは、こればかりは遠くから輸送するものではないからかも。そろそろかな、と散歩がてら自分で近所に摘みに行って春を感じることができる。野生の葉っぱを食べるわけで、気になる方はお酢を入れた水にしばらく浸けておくと殺菌できるらしい。

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