Comptoir Suisseの思い出

前回と前々回に登場したComptoir Suisseについて。Comptoirを辞書で引くと「売り台、カウンター、支店」などとあります。スイスのフランス語圏で時々見かけるComptoir、Grande foire、ドイツ語圏ではMesse、Messen(メッセ)というのは定期市、見本市を兼ねたお祭りのようなもので、サーカス同様一年に一度開催されることが多いです。あ、サーカスといえば、以前スイスの現在のサーカスでは猛獣がいないと書きましたが、Circus Royalというサーカスでは今でもライオンがショーに出てる、と3月3日の新聞で読みました。スイスで唯一残ってるそうです。Circus Royalはドイツ語圏スイスを回っていてフランス語圏には回ってこないので私は知らなかった!

展示場の中庭。ミルク缶で装飾

Comptoir SuisseはLausanneで開催されていた州最大の定期市で第一回の開催が1919年。2018年の99回目の開催をもって打ち切りとなりました。理由:入場者数(有料イベントだったので)の減少!最盛期の1986年には110万人あった入場者数が10年後の1997年には半減して57万人、2017年10万8千人、そして去年は6万1千人・・・

晴海か幕張みたいな感じ?屋台も。観覧車は常設じゃなくて、祭り期間中だけです。

元々はそれこそ農作物が売られ、50年前までは家具や最新の電化製品を展示販売する数少ない場だったそうです。商品だけでなく、外国の紹介をする一角ができたり企業や団体のブースがあったり、日替わりのショーやコンテストがあったり、それはそれは楽しい一大イベントだったそうです。前回お伝えした軍のコーナーは常に大きなスペースを占めていました。
忘れてはいけないのは牛、馬、羊、ヤギなどの家畜コーナー。子供も大人もひたすら撫でていた。動物ってなんで触りたくなるんだろう?ComptoirやFoireには、新しい商品や技術を紹介するだけでなく、都市住民が農家の暮らしに触れる大事な機会でもありました。町と周辺の「田舎」をつないでいました。地場産のもの、隣の州の産品、遥か遠い国のもの、人とモノ、何でもありの所でしたが、大規模だったゆえに社会の変化への対応が遅れた感がありました。

向こうにずっと並んで見えるは牛

近年はスタートアップ紹介だとかハイテクゲームなども導入しようとしていました。しかし、こうした「何でもあり」の総合見本市はネット通販だとか娯楽の多様化などの前に、あちこちで存続の危機にあります。

私はComptoir Suisseがとても好きでした。全盛期の賑わいを知らず、毎年のように寂れていくのがヒシヒシと感じられましたけど、家具を眺め、マットレスを試し(良い眠りは本当に皆が望んでいる)、日本のデパートで見かける実演販売の口上をウットリと聞き、どこまでも続く売り場を歩き、最後は各州から送り込まれた地元味レストラン、どれに入ろうか真剣に迷って、と。まあ、日本で同じようなものがあっても行ったかどうかはわかりませんが。

展示場内に馬場が作られ、ロデオなどもやってました。10日間の会期中、終り頃になるとかなりの動物臭が漂ってたのが懐かしい

さて、最後となった2018年のComptoir Suisseでは「日本」のコーナーがありました。しかし、この時節Japonと出せば客が来るんじゃないかという下心が見え見えで、しかも一見きれいだけど手抜きの展示ですぐ販売コーナーになって、売ってるものは日本製品でも日本産でもなく売り子も全然日本人じゃなくて着ている浴衣が着崩れている等々、あぁ これはもう駄目だなあ、先がないなあと思った次第でありました。来年から趣向を変えて新しく何かを企画するらしいですけど。

Swissmilkで乳製品を買うともらえる「牛」。普通の空気が入っているだけなので浮かばず「足」の重みで地を這うのだ。会場付近ではお子様が大勢これを引いている。

なお、規模の小さいComptoirやFoireは各地で行われていて、中には歴史が500年などというものもあります。

今残ってる大きな見本市はスイス東部St.Gallen(サンクト・ガレン)のOLMAとValais州Martignyのものが有名かな。OLMAはかつてほどの勢いはないというけど、Martignyは逆に長い企業努力の末、来場者数を伸ばしているそうなので(2018年22万6千人)まだまだいけそうです。

St.Gallen(サンクトガレン)の定期市OLMAのサイト。ドイツ語ではメッセとなります

https://www.olma-messen.ch/de/willkommen

Martignyの”Foire du Valais”。Comptoir Suisseの側では客を取られた~と嘆いてましたが、企業努力が足りなかったのよね。

https://www.foireduvalais.ch/fr/

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