スイスとEU

スイスというと、EU(欧州連合)の国々に囲まれていながらEUには属せず、国連には2002年にやっと加盟(ジュネーブに国連の本部があるにも関わらず!)、永世中立国でありながら男子皆兵で男性は兵役義務の期間中は自宅にライフルを保管していて、地下には核シェルターが設置されていて・・・自分だけで生き残る気でいる国?

Leventinaの谷

二度の世界大戦中は確かに国境を閉ざしていましたが、人と物の自由な往来を定めたシェンゲン条約に加盟している現在は、EU内の国境同様に、スイスと周辺諸国との間の国境もフリーパス状態です。毎日多くの人々が国境を越えて働きに来ているし、またスイス人の側も物価の高いスイス国内を逃れて周辺の国々に住みながら、スイス国内に通勤している現状です。

Leventinaの谷

さてスイスというとアルプスの景色が思い浮かぶかもしれません。観光がメインである地域もありますが、スイスの経済の主力は貿易です。輸出品は、金額上位の順に化学・薬品類、貴金属や宝石、それに機械類です。輸出入とも最大の相手国はドイツ。輸出金額の49%、輸入額の61%がEU諸国相手です。モノの輸出入以外にも金融やインテリジェンス業務は国境をまたいでます。EUには属していないけど、EUとうまくやっていかなければ経済は大変なことになってしまう・・・

Giornico。高台のSanta Maria del Castello教会から。線路を挟んで反対側にも二つの教会

EUの域内市場の恩恵を受けているということで、スイスはEUに対し数年ごとにに多額の資金を供出したり(EU非加盟のノルウェーも同様)、EUからの様々な要求に対応してきました。

例えばドイツとイタリア間の輸送力を増強したいから大型トラックが疾走できる高速道路をスイスを縦断するように造って、という要求に対しては、道路の代わりにゴッタルド峠の下に長大な鉄道トンネルを掘りました。巨額の建設費用への反対意見も強く(全額スイス負担だもので)、スイスを二分する大論争の末の決断だったそうですが、もし高速道路にしていたら、スイス中央部のUriやLeventinaの谷沿いの村々は相当の環境破壊を被っていただろうといわれます。このトンネルの上、谷沿いの道を歩くトレイル、いつかご紹介できたらと思います(Via Gottardo)。このゴッタルドベーストンネル、2016年に鉄道が通れるようになりましたが、青函トンネルよりわずかに長くて今のところ世界一なんですよね。むむっ。(ゴッタルド峠の下を通る鉄道はそれ以前からあるが、2016年に開通したのはそれよりはるかに長い)進んで造ったわけではなかろうが、このトンネル、出来てみたら時間短縮になってかなり便利です。

Biascaの街が見えてきた

ヨーロッパ内でEUに属さない国はスイス以外にもありますが、それらの非加盟国での集まりであるEEA(欧州経済領域)への加盟が1992年に国民投票で否決されて以来、スイスはEUと単独で戦う行う羽目に陥りました(といって過言でないと思う)。EUとスイスの間の二者間協定、まだまだ交渉が続いていて、今後どう折衝するか、どう勝負するか、閣僚の腕にかかっています。100年前ならいざ知らず、この時代に周囲と協調せずに一国だけで生き残るのは無理でしょう。

Biaschina高架橋 貨物列車が通る くるりと一周すると上部の線路に出る。Chironico周辺からの眺め

写真は2013年秋、自分で撮っておいてなんですが、綺麗に撮れててびっくりしてます。私がすごいというより景色がすごい。

スイスの貿易 スイス連邦政府公式

https://www.bfs.admin.ch/bfs/en/home/statistics/industry-services/foreign-trade/balance-import-export.html

二者間協定について、スイス連邦政府公式説明(英語):

https://www.dfae.admin.ch/dea/en/home/europapolitik/ueberblick.html

スイスインフォのサイトから、「ゴッタルドのベーストンネル建設までの長い道のり」

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