4月の第三日曜日、チューリッヒではSechseläuten (地元Zürichの言葉ではSächsilüüten )を祝います。
1336年から1798年にナポレオンが来るまでは、チューリッヒの街は12(のちに13)のギルド(職業組合)によって治められていました。ヨーロッパの都市では珍しいことに、ギルドは政治権力の上では聖職者や貴族より上にあり、当時のCity Councilはギルドメンバーによってのみ構成されていました。
16世紀、City Councilは夏には冬より一時間長く働くべしとのお触れを出し、春分の日の次の月曜日、午後6時にGrossmünsterの二番目に大きい鐘が鳴らされ、これが始まりです。1952年からは4月の第三月曜日、復活祭の月曜日と重なる時はその次の月曜日がその日です。
見どころは午後3時に駅前を出発するパレード、ギルドメンバー3500人が当時の衣装を着てギルドごとに行進、ギルドメンバーではないけど子供が2~3000人、馬350頭、音楽隊、そして大抵は馬が引く山車が50台、おおよそ2時間続きます。駅前から出発したパレードの行先はSechseläutenplatz、駅の南東、オペラハウスがある川沿いの大きな広場です。
そこには藁が積みあがった10mの台座、その上には3.4mのBööggというパイプをくわえた雪だるまが待っていて、午後6時に点火!Bööggの頭が爆発するタイムを計り、短ければ暑い夏、長いと肌寒い夏になると予測・・・(科学的根拠皆無)
催しは金曜日の午後から色々ありますが、メインの月曜の午後に行ってきました。ちなみにチューリッヒ州はこの日は祝日となり店は休みです。
13時半Zurich駅到着。駅で早くも時代衣装の方々を見かける。駅から南は車両全面ストップ。パレードが通る駅から真っすぐの通りBahnhofstrasseでは両側に有料席の長ベンチを設置中。事前にサイトでパレードの通過ルートを調べることもできるし、予備知識なしでも道筋には番号付きの有料ベンチ(チケットは要事前購入)が設置されてるから分かります。馬がパカパカ歩く音がそこかしこで聞こえ、衣装の人が、山車が通ってく。
Sechseläutenplatz、中央にはなるほどBööggが!。広場を囲む道に沿って柵が巡らされ、一般人立ち入り禁止。中には警備の人、沢山の平テーブル、簡易トイレ。
そろそろパレードを見る場所を決めよう。はっきり言って、この手のイベントでは日本だったら朝から席取りをしそうなところだけどスイスでは非常に出だしが遅いです。この日の天気、前日の予報では雨かもと報じられ、人出が少なかったのかもしれませんがそれにしても2時半くらいに行ってもまだまだ余裕で道路から最前列が取れます。場所にもよりますけどね。私は背が低いので前じゃなくちゃ見えない!ので頑張って早めに陣取りました。
パレードの先導は自転車に乗った警官。その後にはギルドのメンバー、騎馬隊、女・子供たち、音楽隊、馬が引く山車が有ったりなかったり…職種ごとに続きます。
柵はあるものの、沿道には花を持った人がいて、知り合いが通ると駆け寄って花を贈り、ついでにハグとかキスとかしてるのでその辺りはかなり自由でした。
時々パレード内からお菓子などが沿道に投げられるので、後半には子供が完全に柵を越え、馬が通るすぐ横にはみ出ていました。見ていて危ないー
17時半くらいからBööggの広場へ移動。今年は春が遅く、樹の葉がまだ少なめだったので木の葉越しに雪ダルマが見えてラッキー。と思ったら、着火後すぐにものすごい煙が覆い、まったく見えず!前日の雨で藁湿ってたかー 急いで場所変える。
例年は10分前後で爆発するそうだが、なかなか燃え移らず。湿ってるなー それでも段々と炎が大きくなる。柵にへばりついた人たちが伸びあがり、さらにスマホを掲げるものだから見づらくなる。
「一番前の人は座ってください!」と日本だったら怒号が飛び交うレベル。首を伸ばして頑張って見る。
いくつかあった爆発音の後に大爆発!20分31秒、無事Bööggは爆発しました(書いてて変だ)。20分は長いほうだけど、最長記録は2016年の43分。そんなに待つのはつらそうだー
Bööggが燃えている間、Bööggの周りを馬が駆け回ってるそうです。音にびっくりしない馬なのね。しかしこれは広場に入れるパレードメンバー以外は見られません。Bööggは高所にあるから外からでも余裕で見えるけど。後から写真で知りました。
Zurichの観光サイトでは、爆発までの時間を事前に申請して、当てるとZurich旅行が当たるらしい。
Zurichに10年住んでても、この祭りを観たのは一回という人もいます。学生にとってあの祭りは金持ちのもの、という風潮があったと言ってましたが、当日若者も沢山見かけました。といっても、パレード参加者のは確かにスイスの他の地では珍しい「貴族」的服装。チューリッヒは確かにスイスの中では異彩を放っています。
Sechselatenのサイト:https://www.sechselaeuten.ch/
あるいはZurichの観光サイトのSechselatenコーナー
https://www.zuerich.com/en/visit/sechselaeuten
Bööggの周りで駆け回る馬の写真。これはチューリッヒ観光局の写真をお借りしました。