ハイキング道の表示はあっても、歩くのはハイキング専用道ではありません。そこは牛の領域であり、優先権は牛にあります。牛は酪農家の財産であり、収入源です。馬も羊もヤギの世話はものすごく大変な仕事です。私たちハイカーは、彼らの領域にお邪魔している存在です。
ハイキング道で牛と接触しての死亡事故(牛がらみの転落事故)もたまにあります。安全のために大事なのは、牛や馬を驚かせない、怖がらせない、怒らせないこと。子牛には特に注意です。母牛が近くにいて見張っています。母子牛からはなるべく距離を取りましょう。
道上に、進行方向に牛がいたらどうするか?まずは静かに、ゆっくりと行動します。牛がこちらへの興味を失うまで動かず待つのも良いでしょう。可能なら、道からそれても構わないので牛から離れた場所を歩きます。
この時、黄色や赤白のハイキング道の印が遠くに見えたら、位置を記憶し、道は外れながらもそちらの方向へ向かいます。
牛は逃げないように牛柵に囲まれています。牛柵は開けたら必ず閉めます。牛柵には実に色々な種類があります。牛放牧地内は道がわかりにくくなっていても、牛柵の切れ目にあるゲートを探せば、そこがハイキング道に続いています。
こちらは車が通れるような道にある牛用の仕掛けです。二つの棒のうち、一つだけに触れても何も起こりませんが、二つ同時に触ると通電します。つまり牛の大きな体が通り抜けしようとするとビリっとします。
最初に突然牛柵を目にしたときは戸惑いました。それまで歩いてきた道の正面にあり通せんぼをするようにロープがあったのでした。あれっ?道違ってたかな?でも引き返すには疲れすぎていました。そうです、柵は自分で開けてまた元通りに閉めればいいんです。牛たちが草を食んでいる中を、牛をなるべく避けつつ進行方向に向かって通り抜ければよいのです。
電気が通っている柵の切れ目が見つからないけど柵を越したい場合は、通電しない何か、棒やタオルなどで持ち上げたり押さえたりすれば大丈夫です。そこまで強い電流ではないです。
さて、牛、ヤギ、ヒツジの有用性はわかるのだけど、実にしばしば馬を飼育しているのに出会います。一体馬は何のために?貴重な干し草を使ってまで何故に?役に立つ馬たちについては、いつか書きたいです。
牛のいるところにはアブがいます。小さい頃から牛の国を歩いているスイスの人は刺されても免疫ができているのか大したことないようですが、日本育ちの私はアブに刺されると、それはそれは腫れます。痒さはほどほどですが、もう、指を刺されると指を曲げるのも痛いくらい腫れまくります。しかも一週間くらい続くのですよ。残念ながら、一旦刺されてしまうと、対処法はほとんどないです…
ハイキング時の服装、スイスの人の中には、お嬢さんココは浜辺ですかい?と聞きたくなるような露出度過剰の人もいるくらい、全般的に日本よりはずっと日光にさらされてます。アブに刺されても大したことがないせい?しかし長袖長ズボンでも手の指を狙ってくるし。虫よけスプレー(スイスでも売っている)くらいしか対策はないです。
アブの腫れは長引きますが、いつかはひきます。わかっていても、やはり痒くて痛いけど。