スイス交通システム(9)乗り放題切符対象外区間の理由

さて、何故乗り放題切符対象外の区間があるのでしょうか。乗り放題圏内には連邦鉄道SBBも私鉄もバスもロープウェーも一緒になっているのに。そういえば地域の乗り放題切符Mobilisにも、すぐそばなのにゾーン外があったのは何故?

スイスではそれなりの割合の人が「Abonnement général 略してAG(仏)、GA(独)」を所有しています。値段は年間一等車が6300フラン、二等車が3860フラン。九州くらいの面積のスイス全土の「大抵」の交通機関が乗り放題。高いともいえるけど、スイスでは通勤手当が支給されないので、ある程度の距離を毎日乗る人には必須。そして何故「大抵」かというと、人が生活のために住んでいるところに限り乗り放題になるからです。

多くの町が高低差のある斜面に広がっているので、ケーブルカーは生活の必須手段

冗談のように美しい所、足がすくむ険しい所を走る路線でも、ぐんぐん登るロープウェーも、農業や生活のために人が住んでたら居住生活地。一方観光客用のホテルやレストランのための交通機関は乗り放題切符の対象から外れます。Montreux (モントルー)からInterlaken (インターラーケン) まで、ゴールデンパスの各駅では「秘境駅」に類するものはなかったでしょ?見渡す限りの美しい緑、だったけど牛か何かがいて、そこには人が住んで働いています。だからこの間は乗り放題対象区間です。ユングフラウ鉄道はLauterbrunen (ラウターブルネン) までは牧畜や生活のために人が住んでいるので乗り放題切符の対象内ですが、それより上は観光という優雅な趣味のために乗る人たちです。是非ともお金を巻き上げてやりましょう、と思っているかどうかは不明ですが・・・そういうわけで、ユングフラウ鉄道、すぐ近くに住んでいても、一度も乗ったことが無いというスイス人はかなりいるようです。スイスの高い物価を鑑みてもべらぼうに高いし、大体夏でも雪や氷河が残っていては、降りて歩くこともできない。

改札の無いスイスの鉄道に対し、これらの「観光」路線ではゲートがあるか係員が切符を拝見してからでないと乗れないことが多いので、うっかり無賃乗車で罰金を請求される心配はそんなには無いと思います。

Churのバスセンター(駅のすぐ上)

峠越えのバスは、人がいる場所から人がいない高所を通って山の向こうの集落へ行きます。この場合、乗り放題パス所有者でもAlpin Taxという観光税のようなものを払うことになります。都会の乗り降りの多いバスを除いて、バスは乗車時に運転手に切符を見せるか買うかしますが、その時に数CHFのAlpin Tax分を請求されます。

ChurとSt-Moritzの間をバスで。Alpin Taxを払う所は絶景もついてくる。

幸いなことにベルニナ急行などで有名なレーティッシュ鉄道は、観光列車かと思われがちですが、周辺住民の足として、また貨物を運ぶ列車としてバリバリ働いているので全区間乗り放題切符で乗れます。氷河特急だって、指定席以外は追加料金なしで乗れるんですよ!というかこのGlacier Expressは「特急」と名がついているものの、全然速くないし、スイスの鉄道では駅を飛ばすことに対する追加料金はないと思います。

レーティッシュ鉄道 後ろに木材を積んだ貨車連結

Swiss Travel Passのトラベルは「旅行」ではなく「交通」の意味なのでしょう。販売対象は明らかにスイス非在住の「旅行者」ですが、スイス在住者と同様の乗り放題基準が採用されています。

Swiss Travel Passでカバーされない登山鉄道やロープウェーまでが乗り放題となるのは、地域が限定されたこうしたパスの方でしょう。

https://www.sbb.ch/en/leisure-holidays/ideas/offer.html/tagesausflug/tell-pass-zentralschweiz

訪れたい地域の観光情報HPなどで、宿と交通機関のチケットのパックなどがないかどうか、調べて比べてみると良いでしょう。

追記(9月25日)路線によっては終点手前の数駅が乗り放題範囲外、ということもあります。しかし、乗り放題切符を持っている人のほとんどは、そんなことは知らずに追加切符を買わずにそのまま乗り続けている感じです。実際私も今回の記事を書くために良く良く調べてゴマ粒のような説明を読んで、初めて色々知りました。普通、そんな細かい地図のチェックなどしていないで利用していると思います。切符の不正を推奨しているわけでは全くないですが、あまり悩まず気軽に乗ってください!乗り放題範囲を超えた途端に待ち構えていた検札が来た、というような意地悪なことはそんなにない、と思う。追加料金を請求されたら払ってください。

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