まだまだある、スイスのブドウ畑を歩く道 

Lavaux(ラヴォー)はおおよそVaud(ヴォー)州のLausanne (ローザンヌ)からMontreux (モントルー)にかけての範囲とされていますが、ブドウ栽培はここから東西両方向に断続的に続いています。

ジュネーブ近く 2013年12月撮影

Lavauxから西へスイス最西端のGeneve (ジュネーブ)まで、緩やかな斜面上のブドウ畑、湖、対岸のフランスの山々が合わさった眺めは優美です。Lausanne(ローザンヌ)からMorges(モルジュ)を経由してGeneve(ジュネーブ)へは、ロングトレイルですと3番の道、Alpine Panorama Trail

http://www.wanderland.ch/en/routes/route-03.html

か4番の Via Jacobi

http://www.wanderland.ch/fr/itineraires/route-04.html

が繋いでいます。これ以外もお好みの場所から気軽にハイキングを楽しめます。

この辺りは人口も多く、交通の便の良さから途中でのショートカットも容易です。それでも斜面中腹のブドウ畑の真ん中にあるような集落のバス停の中には、週末は本数が極端に少なかったりオンデマンド営業で自分で前もって電話して呼ばなければ来ない所もあるので確認が必要です。鉄道の本数は平日週末ともにそれほど変わらないところが多いです。

一方Lavauxから東に向かうと、列車はやがて南に進路を変え、Valais(ヴァレー)州に入ります。今までの地域はフランス語圏ですがこのValais州は東側がドイツ語を話す地域になり、ドイツ語表記ではWallis州です。列車は山と山の間の深い谷間を走り、ブドウ畑はその南斜面に広がっています。

2016年10月撮影 MiegeーLeuk間

Valaisのブドウ畑は時にLavauxのそれよりもずっと急な斜面に、ほとんど垂直なんじゃないかと思われるような所を切り開いて造られています。ラヴォーの「優美」に対し、こちらは「根性」。また、Valaisのブドウ畑では石垣をセメントを使わずに積み上げ、地域によって積み方が違うそうです。

2014年4月撮影 St-Leonard-Sion間
排水溝のように見えるのはbisseと呼ばれる、高所に水を供給する古くからの設備

鉄道のMartigny(マルティニ)駅からLeuk (Loèche) まで74キロのハイキング道 Chemin de Vignoble(ブドウ畑の道)があげられます。

http://www.wanderland.ch/en/routes/route-036.html

Lavauxは人が多すぎて嫌だわ、という方々もこちらならば歩く人も断然少なく静かなハイキングを満喫できます。でも本当に人が少ないですからね。バスの本数にはくれぐれもご注意を。ハイキング道本道はブドウ畑の中腹、つまり鉄道駅から随分離れた上の方から始まっていることが多いです。駅からそこまでの長い上り路はバスを利用して短縮することも可能です。

2014年4月撮影 葉がまだ出ていないブドウ畑もそれはそれで良いものです この時期は山の上の雪の白さが光りますね

しかし、一つ大きな問題が!Valais州では、と州全体をひとからげにしてしまうのは乱暴ですが、この州ではハイキング道の標示板が、大事なところでちゃんと付いていないことが時折あるのです。標示の付け方が他と比べて甘いです。地図を持っていてもハイキング路上で、戸惑うことがあります。Valaisは面積が広い割には人口が少なくて、おそらく道標を管理している協会員の人数が足りていないのだろうなあ、とは思うのですが、判断に困るケースに出くわすことも多いのがこの州なのです。もちろん、きちんと標示板があるところがほとんどなのですが、たまにでも無いと困るのです。

長くなりますが注意事項として、Valais州に関わらず、スキー場近辺のハイキングルートでは道標が手抜きのことが多々あります。これを読んでくださっているのはハイキングが好きな方々と思うのですが、ハイキングって地元の経済にスキーほどは貢献していないんですよね。スイス観光のメインの収入源は夏場のハイキングではなく冬のスキーです。スキー客に多くを依存している地域(Valais州には沢山ある)ではハイキング道の整備にはそれほど力を入れていないように見受けられるわけでして・・・ハイキング資源に関しては本当に素晴らしいところなので改善されるといいなあ・・・スイスでもスキー人口は減っているのだし。

急な斜面を、木製の重い背負子にブドウを満載して人力で運んだ (Salgeschのブドウ栽培博物館)

スイスにおけるワインの生産はValais (ヴァレー)州を筆頭にVaud (ヴォー)州、Geneve (ジュネーブ)州が大部分を占めます。これらの他にも南部にあるティチーノ州、スイス西北のNeuchâtel (ヌーシャテル)州、北部のZurich (チューリッヒ)州等の北部など、あちこちで生産されています。

Neuchâtel州はブドウ栽培こそ小規模ですがハイキング道の整備に関してはとても素晴らしく、安心して歩けます。

ワインつながりでいえばイタリア北部で生産されたワインをドイツなどヨーロッパ北部に運んだ昔からの道Via Valtellinaというのもあり、スイス内での部分が全庁130㎞のロングトレイルとして整備されています。http://www.wanderland.ch/en/routes/route-030.html

このハイキング道はベルニナ鉄道沿いの鉄道を眺めながら歩くトレイル(33番)と一部を共有しているのでぜひ行程をご紹介したいです。

人々のワインへの執着はこのように深く、、、次回は スイスでワインを飲んだり買ったり の予定です。

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