日本のニュースでも取り上げられたヨーロッパの猛暑。スペイン南部で46度を記録したなどと報じられると誰しもが抱く疑問:しかもクーラーがほとんど普及していないらしい中でどうやって人間(&犬や猫)が生きているのか?
よく言われているように、ヨーロッパ(とまとめてしまうのはあまりにも大雑把ですが)、特に高温を記録した南部では湿度が低く、日差しは強烈でも日陰に入れば気温は大幅に下がります。一部報道には「ヨーロッパの建物は暑さ対策がなされていない」とありましたが、その逆で、特に古くからの建物の多くでは壁が非常に厚く、断熱効率が良いので建物内は涼しい!「断熱」というと寒さ対策かと思いがちですが、外の暑さが家の中に入らないようにするにも役立ちます。教会の中、イメージ的に薄暗くて夏でもヒンヤリ。あの厚い石造りの壁に古ければ古いほど小さい窓が太陽で建物内が温まるのを防ぎます。それは一般の家でも同じこと。
パリでは、マドリードでは、と猛暑の体験談が巷に溢れていますが、パリなどの大都会なのか郊外なのか、ホテル/一般住居、旅行者/住民、インドア派/アウトドア派・・・年々暑くなっているのは事実ですが、去年までもやはり暑かったけどそれなりに生きているのですよ。
我が家では、夜→全ての窓を全開にし、冷えた外気がなるべく室内に入るようにして眠る。朝8時過ぎには東側の窓のシャッター(窓の外側)を下ろし、太陽光が窓=室内を温めないようにする。外気温や太陽光の向きに応じて南側、西側の窓を順に閉め、その際は同様にシャッターを閉め、ベランダにパラソルを出し、日よけを下げるなど、とにかく太陽光が入らないようにする。夕方から夜にかけて、風向きや気温に応じて順に窓を開けていく。
この際、重要なのは窓の「外」を覆うことで、内側の遮光カーテンも多少は効果がありますが、最も効果的なのは窓の「外」の鎧戸やシャッター、日よけのタープ。冬の暖房熱も、夏期の外気の熱も、大部分、窓を介して出入りします。外壁はしっかり断熱材が入っていれば(20㎝以上の厚さ)相当の暑さに耐えられるはずで、しっかりした家や集合住宅だと夏でも20度以上に上がらないという話も聞きます。
また、家の出入り時のドアの開け閉めはなるべく短期間で済ませ、暑さが家の中に入るのを避けるのも大事です。朝から一日外出する際には窓のシャッターを全て下ろす。日本だと昼間になっても雨戸が閉まっていると、すわ、中で人が倒れてるのでは?となりますが、こちらでは基本、夏の昼間は窓のシャッターを下ろします。
しかし、このような対策が出来るのは住居だからで、ホテルともなると窓を開けられないところも、雨戸が無い場合も多いです。その分、都市部のホテルには「クーラー有」と記載されてることも多いです。パリやロンドンなどの家が建てこんだ大都会では前述したような対策にも限界があります。一方向にしか窓がないワンルームでも風を通らせるのは難しいです。また住居と異なり店舗やレストランでは扉は開け放しに近い状態=外気温となるでしょう。
残念ながら我が家は屋根の直下で、作りが雑らしく、午後には30度を超えることもあります。でも今のところクーラー無しでも何とかしのげる範囲です。しかし、同じ町内でも家が建てこんでる中心部には、送風形式の簡易クーラーなどが設置された店舗やレストランもあり、そこからは温風が排出され、近隣は更に暑くなります。日本の報道記事には「クーラーの設置が進んでいない」のが暑さ対策の遅れのように書かれているものもありますが、この先クーラーの設置が遅々としてでも進めば、「ヨーロッパ」の暑さは加速度的に悪化することになるでしょう。願わくは、私の周辺地域では、あと20年くらいはクーラー無しで済んでほしいのだけど。
旅行者は暑かろうが寒かろうが、外を歩き回らなければならないのが辛いところ。普段の生活であれば用事は午前中に済ませ、午後は家に籠ることも出来ますが、旅先でそうはいきません。標高が高い所では確かに気温は下がりますが、太陽光は何処でも強烈です。無理せずに、と言ってもどうしようもありませんが、どうか皆さま良い旅を!