いよいよゴールの町Môtiersへ、
Boveresseから平坦な緑地の中を歩いていきます
東西に延びているのがVal de Travers(Travers谷)。一見平らな部分が広く見えますが、幅広なのはMôtiersと隣のFleurierまでで、その先はまたすぐに狭くなってしまうのですが、Môtiersの辺りは広いです。
教会の尖塔が見えてきました。Môtiersの語源はラテン語のMonasterium(教会や修道院)から来ており、
10世紀の修道分院Prieuré St-Pierreの創立と町の発展がシンクロ。権力と富の塊である、修道分院の周りに町がつくられてきたわけです
教会(左)の向かいにある修道分院、近寄った際の写真がなくて残念ですが、この修道分院、中は現在私企業Maulerが入ってます。創業1829年、フランスのシャンパーニュと同じ製法で醸造する発泡ワインをつくってます。ワイン貯蔵するのに修道院の重厚な建物がちょうど良いらしい。
しかしMotiersを特徴づけるのは発泡ワインではなく、そこここに見られるAbsinthe(アブサン)の醸造所。
写真の右奥に見えるのが1590年に建てられた町役場&宿泊所。回廊が僅かに見えますが、この建物は現在はレストランRestaurant des Six-Communes(6自治体レストラン)で建物がほぼそのままで営業。この回廊の下がテラス席になっていて日がさえぎられていて涼しく、一日の歩きを終えて飲むビールが美味かった!
Motiersの町は小さい。19世紀からの工業化から外れ、停滞。隣町のFleurierにの時計や繊維産業に比べるとそうしたものは無い。更にはVal de Travers全域が、20世紀後半から人口流出に見舞われている。現地の自治体にとっては頭が痛いところだが、観光客としては、近年のスイスでは何処へ行ってもものすごい勢いで住宅建設が進んでいる状況と比べると、何もない感が堪らない。で、件のレストランから向かいの丘に向かっての道を歩くと、
Maison de l’absinthe アブサンの館。中にはアブサンの歴史や製造方法の紹介や試飲(有料)コーナーなどがあります。
アブサンとは、ニガヨモギなどの薬草系リキュールで別名「緑の妖精」。ゴッホなどの画家が愛飲し、身を亡ぼす一因ともなった(当時は)とてもアルコール度数が高かった蒸留酒。その危険性からスイスでは1910年、フランスでは1915年から製造が禁止されたがスイスでは2005年から製造販売が解禁。
産地のフランスPontarlierからスイスのMotiersを通ってNoiraigueまでをRoute de l’Absinthe(アブサンの道)として観光振興に役立てようという企画も。通しで歩くと52㎞、14時間の道のり。
さてVy des Moines、坊さんの道はここまででひとまずお終いです。
フランスとスイスの端同士を南北につなぐ道で、途中にはそれほど高くはないけれどピークあり。天気が良ければピークからの眺め良し。天気が悪けりゃ転ばぬように。一方のアブサン街道はスイスの端とフランスの端を東西につなぐ道。Motiersから西に行っても割とすぐにフランスです。
写真と歩行は2024年7月上旬。投稿内の情報は原稿執筆時2025年5月のものです