Via Francigena(84)セントバーナード犬

Fondation Pierre Gianadda(真ん中の赤矢印)から線路を挟んだ向かいに楕円のAnphitheatre(古代屋外競技場)があり、その東隣にある長方形の建物が、元々はArsenal(兵舎)で、

現在はMusée(博物館) et(と) Chiens(犬) du (の)Saint-Bernard(サン・ベルナール)。しつこく助詞にまで訳をつけたのは、一見するとサン・ベルナール犬の博物館かなあ、と思いがちなのが、じっくり訳すと「サン・ベルナールの博物館と犬」。微妙に違う。

サン・ベルナール(英語だとセントバーナード)犬がいるのは確かです。合ってます。

セントバーナード犬は2世紀頃、ローマ帝国の軍用犬としてアルプス地域で飼育されるようになりました(寒さに強く、暑さが苦手な犬種)。

グラン・サン・ベルナール峠は北ヨーロッパからローマとをつなぐ峠。アウグストゥス皇帝が峠道を整備して以来、カール大帝、カンタベリー大司教、ナポレオン、数多の文化人や無名の人達が通った峠。旅人の安全と保護のために修道院(ホスピス)が建てられ、

17世紀頃以降、雪に難儀する人達を救助する犬として、セントバーナード犬が修道院で飼育されていました。首輪に薬箱を付けた写真やぬいぐるみでお馴染みですね。救助された人数は実に2500人以上!私が行った時には「修道院と犬」をテーマに写真の特別展示。

峠の下をトンネルが出来たこともあり、現在、冬に峠越えをするのは趣味でのハイカーやスキーヤーなわけであり、修道院での犬の飼育はなくなり、犬の飼育や保護は麓のMartignyのこの建物に移りました。峠では夏期のみ、修道院の隣に犬の飼育施設が開かれ、また犬が飼育員と散歩しているのに遭遇することがも出来ます。

博物館では犬の飼育に加え、サン・ベルナール峠の歴史を展示しています。私としてはこちらの方が大興奮なのですが、来場者は犬目当ての家族連れが断然多いですね。

こちらは峠の修道院での来訪者向け食事。

峠で人々を救った犬の中で、ひと際名高いのがBarry(バリー)君。実に40人もの遭難者を救助。この犬がBarryを模しているのかは不明ですが、Barryの像はスイスだけでなくフランスなどにもあるそうです(フランスからの救助された人が建てたのかな)。

峠に至る道、Via Francigenaについての言及も。絵画に残されたPissevacheの滝。確かに今と比べると断然多い水量(ダム工事の前)で名所だったのもうなづける(今はほどほどの水量しかない)。

Martigny(画の中央の麓、ローヌ川が大きく「く」の字に曲がる所)から画面の上の方へと山の間を縫って歩いて行くと、山の上に→Col du Grand Saint-Bernard(2469m)、左側は峠を穿つTunnel(トンネル)。11年前、私はこれを見て大興奮したんだったな。一人で密かに。

こちらは右下のレマン湖からローヌ川流域、Martignyまでの部分。

博物館のHPのアドレスは https://barryland.ch/en/ サイトのトップページにもBarrylandの文字だけで、Musée et Chiens du Saint-Bernardの表記がなくなっています。隣の空いた土地で工事が行われていて、2025年には敷地面積を大々的に増やして、もっと犬と触れ合えるような施設にする予定だそうです。その時に修道院や峠についての展示がどうなっているのか?興味深くもあり、不安でもあり。

写真は2013年、2024年4月初め

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