スイスの国名はドイツ語ではSchweiz、フランス語 Suisse、イタリア語 Svizzera、ロマンシュ語 Svizra。スポーツ選手のユニフォームにはSuisseとあるので世界的には「スイス」での通りがいいのかしら(英語ではSwitzerland)。
問題はSchweizの発音。ドイツ語単語の「ei」の綴りは、学校で習う標準ドイツ語では「アイ」と発音ですが、スイスドイツ語では「イー」となることが多いです。といいつつ例外としてすぐ思いつくのが卵を意味する「Ei」はスイス弁でもアイですが。
よってSchweizは、標準ドイツ語ではシュヴァイツ(ヴァにアクセントあり)、当人の話し言葉スイス弁ではシュヴィーツとなります・・・違うんかい・・・
写真はフランスの新幹線TGVの車体、TGVはフランスとスイスのいくつかの都市をも結んでいて、車体に書かれた「スイスーフランス」に当たるのがFrance<>Suisse(フランス語)、Schweiz<>Frankreich(ドイツ語)。
フランスのことも標準ドイツ語ではフランクライヒ、スイス弁ではeiがイーになり、さらに末尾のchが喉の奥で破裂させる音、カタカナでは書けないけど無理に書くと「クッ」、または無音になる(チューリッヒに当たるZürichがスイスドイツ語では「ツリ」と語尾のchが無音)のでフランクリークッ、あるいはフランクリー・・・
ついでですがスイスにはSchwytzという「スイス」ができた時の最初に同盟を結んだ三州のうちの一つである州があり、こちらは標準ドイツ語、スイス弁ドイツ語両方で「シュヴィーツ」との発音になります。まあ、綴りがeiではなくyですが、スイスドイツ語では国名とこの州名が同じ発音となります。
日本の大学受験で小論文を書いていた時の疑問、論文を大阪弁で書いてはいけないのか?スイス弁ドイツ語は話し言葉(専用)ですが、それでも今まで書いた記事に出てきた例えば行事の名称、チューリッヒの行事Sechseläuten (標)/Sächsilüüten(Zurich)やGlarusの市民参加の青空議会(Das Landsgemeinde(標)/ Ds Landsgmei(Glarus))も標準ドイツ語と地元の言葉の二種類であらわされます。また日本での方言と同じように、方言で書かれた絵本や小説、新聞記事も増えてきています。
しかし知人の個人的意見としては、文章においては本や新聞、インターネット上で「標準」ドイツ語で読む機会のほうが圧倒的に多いので、「方言」で書かれた文章を読むのには慣れていなくて違和感があるそうです。これは人それぞれでしょうね。