要塞の存在は極秘なため、電力も自前。ディーゼル発電施設があります。
内部は8~18℃に保たれています。映画のセットのようですが本物!人間は別!
宿舎。一般兵士は二段ベッド。普通の兵舎は週末休み(多くの兵は家に帰れる)だったりしますが、ここは年365日、3交代で24時間休みなし。
上官用食事処
内部に医療施設もあり、ここは医療ベッド。亡くなられた場合にもすぐには外に出せないので安置するスペースもあったそうです・・・
スイス全体がそうですが、特にグラウビュンデン州はイタリア、オーストリアと国境を接し、ドイツともすぐな距離。数々の峠を擁する州内には40以上の要塞(地図の茶色の城の印)、250の防御線がありました(地図はwww.crastawald.chから)。州を経由しての南北の横断を阻止するために。
Viamala峡谷からここまでの道はSplügen、San Bernardino峠を通ってのイタリアに抜ける最短距離の道。第二次世界大戦中はドイツ・オーストリアとイタリアをつなぐ最短ルートを守る意味で、大戦後も冷戦が続く中でこの地の重要性は高かったのです。
第一次世界大戦後に一旦は不要とされた要塞建設ですが、1930年にフランスがマジノ・ラインを、オランダ・ベルギーも次々と要塞線づくりに着手すると1934年スイス政府も要塞強化に転換。同年の雇用増計画もありました。
建設が始まった1939年から要塞としての運用が終了した1995年までの制服・装備が展示されていました。人形だけどちょっと怖い。
要塞には空調システムがあり、また1991年には化学兵器用のフィルターも加わったのですが1995年をもって閉鎖。スイス軍の再編と、国防に関しては国境近くでミサイルを発射するのとは違う対応が必要だろうということで役目を終えました。ここのミサイルは小型な故操作が簡単だったとか。2001年6月から一般公開されています。他の要塞に比べるとコンパクトなので全エリアが公開されていて、ほどほどの時間で全部回れるある意味珍しい存在。私はゆっくり1時間半滞在。入場料10フランに加えて私は当時5フランでオーディオガイドを利用しました。
Crestawaldの外観。今はすぐ横にハイキングコースが通っていて、のんきに歩いてきて見学もできて写真も撮ってるわけです。スイスにおける山岳地帯の国防の重要性というのは未だに決してなくなったわけではなく、現に数年前にあったComptoir Suisseという見本市では軍隊のショー(啓発活動)みたいなものもやってました。再び極秘の軍事要塞が必要になる日が来ませんように・・・
歩行と写真は2013年8月末
当ブログ記事から「軍隊について少しだけ」
Crestawald公式HP
グラウビュンデン州内の見学できる軍事施設
https://www.festung-graubuenden.ch/
公式観光サイト内の施設の案内
https://viamala.graubuenden.ch/de/regionen-festungsmuseum-crestawaldentdecken/rheinwald/