Moleson周辺とJura VaudoisではAlpageという、春から秋にかけて麓から牛などを連れて夏を標高の高い山地で過ごす酪農形態地帯を歩きましたが、Emmentalの1000m超の標高では一年を通して牛が飼われています。
年間を通しての場所なので建物が巨大だし、サイロなども備えています。牧草地を確保するためか、各酪農家の間の距離も離れていました。
Alpageチーズだと付加価値がついて高い値段がつけられる(実際大変な作業)のですが、そうじゃないと小さなチーズ製作所が生き残るのは難しく、統廃合が進んでいるとも聞きます(1990年には800あったエメンタールチーズの工房の数が2012年には149か所)。
Emmental AOPもまた、円盤の形で最低4か月、8か月~、14か月以上と熟成され味に深みが増していきます。この円盤状のMeuleはひと際大きく一個90㎏!それというのも19世紀、関税が重量ではなく個数にだけ課されていたのでどんどん大きくなっていった・・・スイス23州のうち、ドイツ語圏側の10州で生産があります。
エメンタールチーズの穴は長年の謎でしたが、牛から搾乳される際に乳に混入する干し草の粒子が発酵時にガスを発生し、穴の元となるとの研究結果が2015年にBernの機関から発表されました。昔に比べると穴の発生は少なくなっているそうです。
15:45、Langnau im Emmentalに着きました。Eggiwilから3時間40分くらい。
Langnauには中世末から通常は都市にしか許可されない市場Langnau Märit(年に6回の市)を開く権利を付与されており、職人も多く住んでいました。
18~19世紀にかけてはチーズと麻の生産でBern州の中でも重要な商業地となり、1875年から鉄道でBernとLuzernにつながりました。
かっこいい建物がみられる中、1526年の建築とひときわ古いのがChüechlihus。元々は食料品商の家として建てられたのが2009年よりRegional Museum、Langnauの地元の暮らし博物館となっています。
館内にはLangnauからエメンタールチーズが世界中に輸出されていた頃(今でもそうだけどね)の商取引の証なども展示されています。エメンタールチーズ、2010年にグリュイエールチーズに抜かれるまではスイスにおけるチーズ生産量が最も多いチーズでした。
2019年の生産量はエメンタールが16332t(減少傾向)、グリュイエールが29818t。国外輸出はエメンタール11012(62%)、グリュイエールが12684t(54.4%)。
そしてまた、エメンタールチーズはジェネリック・エメンタールの名でスイス国外で広く生産されているチーズです。一番多いのはフランス産エメンタールチーズで11000t(半分がブルターニュ地方)と発祥の国よりずっと多い。
博物館で見逃せないのは陶器。Emmentalより南のThunからこの辺りで作られていた日用使いの陶器Langnauer Keramik。今でも年配の方でそろえている家がありますが今では珍しいかも。
博物館Chüechlihusのサイト、Museum→Virtueller Rundgangで館内のバーチャル映像が見られます
https://www.regionalmuseum-langnau.ch/
チーズの道
Langnauの公式観光サイト
https://langnau-ie.ch/tourismus-freizeit
Emmental Cheese Village
https://emmentaler-schaukaeserei.ch/en/