「いつもと違う夏」なわけですが、この夏のスイスは人混みを避けてゆっくりできる自然の中の宿泊施設の予約は絶好調。特に他人との接触を避けられるキャンピングカーの販売・レンタルは空前の超絶好調。キャンピングサイトの予約は随分前から満杯。「野良」キャンピングカーが増えるのでは、と懸念されてます。
それに対して危機的状況なのが都市部のホテル。ジュネーブやチューリッヒなどは知名度こそありますが、こうした都市に泊まるのは国際会議の参加者やビジネス客、外国からの旅行者が多く、彼らがほとんど来なくなった今、特に5星ホテルは維持費がかかり、ジュネーブのとある高級ホテルの中にはこの夏後での営業停止を決めたところさえあります。例年3月に開催されるジュネーブのモーターショーは2021年の中止が既に決定してます。本当に恐ろしい。
以前も書きましたが、スイス人に対する今年は夏休みをスイスで過ごしてちょうだいキャンペーンが熱いです。アッペンツェル インナーローデン準州では、3泊以上で現地までの宿泊費持ちます、ヴォー州では2泊以上でホテルやレストランなどの施設で使える100フランのプリペイド券あげます、のキャンペーンを行っています。で、これらの経費を持つのは連邦政府ではなく、それぞれの州の観光協会、つまり州です。アッペンツェルの場合は人口がたしか1万5千人程度なので外部から来てもらいたいし、ヴォー州の場合は自前の人口が80万人と多いので、自分のところの州民に対して「今年は地元で過ごそうよ」的な働きかけをやってます。
スイスにおける来訪者・宿泊者誘致における州の観光局の役割は大きいです。それというのも、スイスの旅行会社には、全国に支店を構える大手から個人事務所までありますが、これらは主に国外のツアーや手配を扱っているからです。
ちょっとお金に余裕のある、しかも退職して間もないスイス人の海外旅行熱は相当なものです。何しろ大体の国はスイスに比べたら物価が安い!秘境を含めて本当に世界の隅々まで出かけてました。コロナ禍で各国が国内や国外への交通を止めた後、足止めされたスイス人旅行者を救出するために、連邦政府は相当な便数の救援機を飛ばしてました。海外へのツアーが次々とキャンセルされ、スイスの旅行会社、バタバタと事務所を閉めてます・・・
そうなんです。日本の旅行会社で見られる列車の切符と宿がセットになったお得なパックが(多分)ないんです。日本だったら船会社やJRが出してる、どういうわけか宿を含めたほうが往復の交通費だけ買うより安くなるお得なツアー、ないんですよ(これってホテルの取り分を圧迫している面があるんですよね?)。割引で思いつくのはSBB・連邦鉄道が出してる、大規模コンサートや美術館の企画展などの切符と現地までの鉄道切符を合わせて買うと、鉄道切符が割引になるとかそんな程度かなあ。SBBは、たまにお得な乗り放題切符を期間限定で販売しますけどね(ハンブルクにはこうした切符で行った)。
州や地域の観光協会が出してる「宿泊すると、その地域の公共交通機関の乗り放題切符がもらえる」は各地であります。私が利用したことがあるのはJura州、Graubunden州はBernina峠とScuolを中心に、それぞれ相当広い範囲で鉄道とバスが使える切符がもらえます。2泊以上の条件があったかもしれないけど。Bernina峠周辺の切符は、2等席のみにせよ、あの絶景列車が乗り放題ですよ!
そこまで広範囲ではなくても、宿泊客に市内のバスや路面電車が乗り放題切符をくれる都市は結構あります。サンモリッツ近辺では普通に買うと値の張るロープウェーが割引だったかタダになるカードをくれました。ユースホステルでもくれます。
バスツアーもあるようですが私は知らないです。今年の「夏をスイス国内で過ごしましょう」キャンペーンで、いかに(一部の)スイス人がスイスを観光してないかが明るみに出ました。私などは、最初はずっと住むとは思ってなかったので精力的にスイスを観光しましたわ。歩くのにはまってからは歩いてばかりなのでそのスピードは遅々たるものになりましたがずいぶんと隅々まで(隅々へ)行きました。
スイスに「移住」してきた人々にとって、夏は祖先の国への里帰りの機会でもあります。スイスから周辺国へ、格安バスというのもあるにはあります。しかし、スイス国内の町々で乗客を拾った後、例えばイタリア国内に入ると高速道路のサービスエリアなどで降ろされ、そこから先は(イタリアの)親戚に迎えに来てもらうんだそうです。知り合いがいなけりゃ使えないバス・・・
コメント
国内移動がさらに制限されそうな勢いとなってきました。その前に早めに夏休みとって一週間恒例の西表島に行ってきてしまいました。
ほとんど東京が悪者になってるみたいじゃないですか…今頃オリンピックやってるはずだったなんて・・・西表よかったですね、早めに行っておいて。もう何があるかわかりません!先が見えない!