COVID-19とスイス(6月9日)制限緩和第3弾

6月6日より制限緩和・第3弾。イベント・劇場・映画館の再開!300人までの制限があるけどね。観光目的の山岳鉄道やロープウェー、義務教育以降の教育機関も再開。夜の12時までだけどクラブやディスコも可。デモも可。

Castel del Monte Torre Vento (イタリア)

制限が緩和されて以降も新規感染者は増えてないことからか、街の雰囲気が日に日に和らいでいるのを感じる。というより緊張感が無さすぎ。マスク姿が本当に少ない。おいおい、まだ終わったわけじゃないんだよ~と言いたくなるんだけど。

店の入り口には手を消毒するための液体、入り口と出口を分け、人の流れを一方通行にする誘導サイン、内外に並ぶ際にキープすべき2m間隔を示す線、入場者数を厳密に制限するはずだけど(夕刻のスーパーはそう)、かなり適当な所も散見されるようになってきた。春物商品を片付けようと、全品30-50-70%引き、なんてことにもなってる。サイズが豊富にそろった状態でのこのセール。家篭り中の断捨離はどこへやら、店にわさわさ客がいる。人がわらわらと外に出始めた。天気は一日も雨が降らなかった4月とは変わって、雨模様で肌寒い昨日今日ではあるけれど。

これはスペイン産

周辺の国と異なり、スイスでは「外出禁止令」は発せられなかった。Confinement(仏)は辞書では「閉じ込めること・閉じこもること。幽閉、監禁」とある。スイスでは自らSemi(準)-confinementと称していた。定められていたのは人との距離を保つこと、咳エチケット、公共の場所での6人以上の集合の禁止。強制措置は生活必須物資以外の店、レストラン、学校、映画や劇場、観光用と認められる山岳鉄道などの閉鎖。

イタリア産Edizione、これはBianceで白だが赤も美味い。しかし、イタリアワインは瓶が重いのが多いけどこれは特に重い!量ったら1キロ以上あった。中身より重いのか

公共交通機関に対する考え方としては、「在宅でできる仕事は家で。そうすればその人のスペースを、在宅では行えない仕事に出かける人が安全に使える」。家の窓から見えるバスは不気味なほどガラガラで、本数は減ってたけど常に走っていた。看護師で通勤し続けた義妹は「行きも帰りも電車の車両に一人っきり」と言っていた。

外出は、「テレワークができない仕事へ行くため、買い物をするため、他のだれかを助けに行くため等に限られる」とされたが、それら正当な理由なしで外出しても罰せられることはなかった。見回りの警察は「集合」を取り締まっても、外出に対して尋問することはなかった(多分)。フランスやスペインのように自宅から○○㎞より遠くには行ってはいけない、ということもなかったし、一日に外出できる回数の制限もなかった。ゆるかった。

これはイタリア産だけどそれほど重くない瓶。Brunello di Montalcino 2013

知り合いの80歳以上のおばあさんは(そう言ってもいい年齢だよね)、年間乗り放題パスを持っていて歩きに行くのが日常で、周りが幾ら言っても感染者数が毎日千人を超えて最悪だった期間中も毎日電車に乗って出かけるのを止めなかった。誰も乗ってなくて快適と言い張っていた。未だに感染してないようだ。私は3月下旬に有効な乗り放題切符をずっと前に購入してあった。早割特典の代わりに払い戻しが効かない切符で、4枚もあって迷ったが使わなかった(無駄にした)。緊急事態になってすぐに用事があって乗った時の、あまりの雰囲気の厳しさに、切符は惜しいが電車に乗って出かける気になれなかった。今でも時折「誰も乗ってないのならむしろ安全だったのでは?」との考えがよぎるが、皆がそう思って出歩いてたらこの作戦は成功しなかったのよね。一部掟破りのパーティーなどはあったけど、大部分の人が不便と損失に耐えて大移動を止め、そしてやっと今がある。

6月9日のトマト苗(ミニトマト)すっかり大きくなって・・・(本当は脇芽をとって一本立てにしてもよかった)

一時は車の通行も実に少なかった。信じられない位きれいな青空だった。その後、少しずつ人が外に出るようになり、でも公共交通機関は不安なので自家用車の使用が増え、「地球温暖化対策で公共交通機関利用の促進」が進んできたところにとんだ逆風。いやあ去年の地球温暖化に対するデモは本当に盛り上がっていたな、と昔を懐かしむ。

公共交通機関への不安から、激増したのが自転車。自転車修理は「生活必須」なので自転車店は閉鎖されることはなく営業していたが、日に日に客が増えていくのが見て取れた。自転車、便利なんだろうな。私は自転車に乗れないわけじゃないけれど、一回落車したのでちょっと苦手。

スイスはスイスの事情で対策を決めて今があり、各国それぞれの状況下で最善の方法を画策してきたはずです。それが結果にどう反映したか、今後ものすごい量の研究結果が出るのでしょう。経済力も病院の体力も感染者の状況も人の移動交流量もマチマチなヨーロッパですが、今月の15日におそらくシェンゲン条約加盟の全ての国の間の国境が再び開きます。この3か月の各国の状況の違いは国境が存在した結果だったのだけど、この先また、どうなることやら。

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