地図の北端に水色で書かれたPissevacheの文字。
Cascade(滝)de Pissevache、Pisse=おしっこ、Vache=牛。またはCascade de Salanfe。昔から多くの絵が残されており、ゲーテも1779年のスイス旅行の際に立ち寄って言及。今見ると普通ですが、昔はもっとスケールが大きく、圧倒的な存在だった!現在は上流にダムが建設され水量が随分と減ってしまったので画家たちが競って描いたころの規模はない。でも電車からも良く見えるから、通るたびに見つけて嬉しい。
滝から森を抜けます。この先のMartigny市の水源の森で、取水建物で飲んだ水はうまかった。
森を出た所、地図でCEとあるのは発電所。この上、標高1900mのSalanfe高地に水をせき止め人造湖がつくられ、その水がパイプを通って下の発電施設に送られるわけです。この写真だけ2013年6月初め。葉がすっかり茂ってますね。
発電所はCFF(連邦鉄道)の所有。CFFで使われる電力の90%は水力発電。1945年に発電所建設を決めた際には、名所Pissevacheの滝の水量が減って景観が損なわれる、と反対意見も強かった。
前回の最後の写真、滝のすぐ北側にもCEの文字があり、滝の前の緑地にそれらしき部品が展示されていましたが、そちらは1897年につくられた古い発電施設のものでしょう。1950年完成のこちらは標高1900mにある人造湖から水を落としており、滝のわずか50m上からの水を使う昔のとは規模が違います。
歩いているのが右側の太緑線。そこから左、地図の中央に人造湖Lac de Salanfe。標高1395mまでバスで行けて、湖を一周すると4時間半。この間まで何回も言及していたDents du Midiの頂の連なりの南側にあります。Via Francigenaなど歴史的街道歩きではひたすら地味に低地の狭いところを歩いていますが、すぐ上には広々と山々が広がっています。
発電所を過ぎ、斜面に目をやると、山腹の中ほどから赤と白の電車が山を下ってきます。
Martignyから国境を越えてフランスへと走る、Mont-Blanc Express(モンブラン エクスプレス)の電車がすぐ横を走ってきます。
VernayazはCFF駅(地図外)の他にVernayaz MCとある駅があり、そこには多数分岐した線路と大きな建物、車両基地が見られます。車両格納庫。
モンブランエクスプレスはMartignyからVernayazまでは平坦なところを走り、ここで車両の足元に歯車を装着して、ぐんぐんと登って行きます。
CE(発電所)のすぐ横を通るのですね。カーブとトンネル。
モンブラン・エクスプレスはスイス側とフランス側SNCFの線路を合わせた52㎞の呼称。スイス側はTMR(Transports de Martigny et Région)に属するChemin de fer Martigny-Châtelard(MC)の18.363㎞。Martigny(M)からは黄色の線がCFFのシンプロン線でSion(1860年開通)、Brigへと続き、Domodossolaからイタリアへ。赤の線MCはChâtelardまでがスイス、その先はフランスに入って線路は続くよどこまでも、SNCF管轄でモンブラン駅を経由してSt-Gervaisまで。黄緑の線はSain-Bernard Express。名に反して全然エクスプレス(特急)じゃなくて各駅電車。Via Francigenaはこの先この線路にほぼ沿って歩きます。そして左側の紫線がEmosson湖への経路で、
MCの終点の一つ前の駅Châtelardからケーブルカー、パノラマ列車、ほぼ垂直に上がるミニケーブルカーを乗り継いでダム湖Emosson(エモソン)まで行けます→VerticAlp Emosson。
VerticAlp Emossonは元々はダム&発電関連の工事(1967~1972)資材を運ぶためにつくられ、現在は観光用に一般に開放。
MC鉄道のChâtelard駅からケーブルカーに乗り換え。
ケーブルカーで上り切った所で
パノラマ列車に乗り換え
山をぐるっと回って
付いた先にミニケーブルカー
上から降りてくるのと同じタイプの小~さい箱で上ってます。てっぺんの右側に見える小さいの。
Emossonのダム湖。その先にも道はつながっている。
写真と歩行は、前半が2021年4月初め、Emossonへのケーブルカー旅は2015年9月
Vallee du Trient観光サイト:
https://www.valleedutrient.ch/
Salanfe湖周辺はDents du Midi周辺一周路などあり、夏に元気があったらこちらを歩きたい!
Dents du Midi観光サイト:
Salanfe湖周辺の山小屋:
https://www.saint-maurice.ch/tourismus/auberge-salanfe-1068.html