スイスの政治(9)自党の利益となるように他党の候補者を選ぶ

スイスの生活
ベルンのパウルクレーセンター、

ベルンのパウルクレーセンター、

Widmer-Schlumpf氏は閣僚を2015年末まで勤めました。退任時には「ミスをしなかった」と惜しまれた非常に有能な人でした。

左手の縞模様に見える建物の屋根。周囲は緑地。周りはずーっと散歩スペース

そしてここが多党が協力して内閣を形成するスイスのシステムの特長なのでは、と思うのですが、元々は保守派SVP/UDCに所属していた彼女の内閣での活躍を、党派を越えた人々が支持していました。就任当初の2008年4月、彼女がSVP/UDCに辞任を迫られた時には、同僚閣僚や議員の支持に加え、1万2千人もの一般市民がベルンの連邦議事堂前に集まり支持を表明しました。

すぐに建物に入ってもいいけれど、ぐるっと半円形にある散歩道を歩いてみても

辞任した閣僚は、数人を除いた全員が政治の世界から引退するのが通例のようです。変な例えですが、スイスの閣僚は相撲の横綱みたいなもので、不祥事でもない限り、ほぼ自分で辞め時を決めます。

数人しかいない閣僚を辞めてからも政治にとどまっている1人がBlocher氏で引退したのは2014年。ちなみに、Blocher氏はものすごい名画コレクションを所有して、ほとんどは自宅に飾ってあるそうですが、何年か前にMartignyのGianadda美術館で所有名画の特別展を行ったくらいですーーー

Widmer-Schlumpf氏退任後、スイス保守民主党(BDP/PBD)は閣僚枠をSVP/UDCに渡し、BDP/PBDはその後、スイスキリスト教民主党(PPD/PDC)と合併し、Die Mitte/Le centre(中央)党となりますが、それは2021年と最近の話。

この2007年の閣僚選挙での大激震が起こった理由はというと、党の人事(選考)に他の党が参加できることでしょう。閣僚7人に対する4党からの人員「枠」は決まっていますが、そのルールは守りながらも、誰に成らせるを決める力が全議員にあるわけです。Blocher氏が座っていたSVP/UDC枠に、同じSVP/UDCのWidmer-Schlumpf氏を推すことで、ルール上問題はなく、Blocher氏を追い落とせたわけです。

2022年、理論的に考えれば利する点が多いHerzog氏ではなくBaume-Schneider氏を、内閣構成員の言語バランスを崩してまで選ばせる勢力となったのは、彼女らが所属する社会民主党ではなく、むしろライバルの国民党だったとも、一週間経った今では推測されてます(無記名投票なのであくまで分析)。

それによって国民党は気に食わない社会民主党のもう一人の閣僚が辞任するよう圧力をかけたわけですが、それに対して圧力がかかった本人(Berset氏)は2023年以降も辞めないと宣言。しかし、2023年には総選挙があり、その結果によっては緑の党が再度閣僚ポストを要求する可能性もあり、2007年に起きたような複数の党の秘密連携により誰かが追い落とされる可能性もあるかも。内閣内は呉越同舟で協力が基本だけど、それ以外の所では策略と闘いですね。なかなかにエグイ。

閣僚の新任選挙と再任選挙のルール

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