9月26日の国民投票:同性婚の合法化

Mariage pour tous(全ての人のための結婚制度)

先日の国民投票で、スイスにおいて同性間での結婚が賛成64.1%で認められました。また、可決されるには総得票率に加えて、26ある州の過半数、14以上の州での賛成が必要ですが、なんと26州全てで賛成票が上回るという、大幅に賛成が上回る結果になりました(一番反対票が多かったアッペンツェル・インナーローデン州では51%の賛成)。

2021年6月末 ジュネーブ 湖岸

ちょっと見えにくいけど虹の旗が舞ってます

スイスではこれまでのところ同性カップルは結婚ではなくパートナーとして役所に登録ができ、それにより異性間で結婚を届け出たカップルとほぼ同様の権利が認められています。2020年には35160組が「結婚」を届け出た一方、同性間でパートナーとして届け出たのは651組。今後は(すぐではないけど)同性間でも以下の3つが可能となります。

同じ日のジュネーブ  郵便局

1.養子縁組 現行制度では同性間カップルでは二人のうちのどちらかの「子」のみが、もう片方と養子縁組できます。つまり二人にとっての「赤の他人」を養子に迎えることはできません。同性婚の合法化により、異性間で結婚した二人と同様な養子縁組が可能となります。

2. スイス人と「結婚」している外国人のスイス国籍取得は、全然関係ない外国人に比べると容易です。今後はスイス人と同性結婚している外国人もその恩恵にあずかれるようになります。

3.女性同士のカップルのスイス国内での精子提供は認められていないので、スイス国外に行く必要があったのが、異性間カップルと同様に国内で精子提供を受けられるようになります。

9月上旬のロカルノ、映画祭でもおなじみのピアッツァ グランデ

同性婚に反対する側には教会勢力や保守派が多いです。反対派が器具していたのが「精子提供」の項でした。親というのは男と女の組み合わせのみから成るべしとの意見ももちろんありますが。現在異性間カップルへの精子提供は(男性側の)不妊や重篤な病気が遺伝される危険がある場合にのみ限られていますーーーそれを女性間カップルにも認める=女性同士では不妊だからーーーとなると、異性間カップルへの精子提供に対する規定も緩むのではないか?つまり将来的に精子売買ビジネスにつながりかねない。

広場の市庁舎には旗が掲げてあり、左からTicino州、スイス、ロカルノ市、そしてよれちゃって分かりにくいですが、虹にSi!(Yes!)とある「すべての人に結婚を」の旗

女性カップルへの精子提供が認められるなら、現在、そして同性婚の合法化以降も引き続き禁止される卵子提供や代理出産についても、男性間カップルの要望により歯止めがかからなくなる恐れ。

国民投票を前に同性カップルへのインタビュー記事が数々のメディアで掲載されましたが、自分たちを異性婚と同様に「家族」として認めてほしい。差別や偏見をなくしたいというのが多かったです。そしてスイスの有権者の過半数がそれに「Yes!」を表明したことは重要で喜ばしいと思います。

今後同性間の婚姻が認められる代わりに以前の「パートナー制度」は廃止され、カップルは法的に「結婚」するか結婚せずに(役所に届けずに)所謂「事実婚」を続けるかになります。

国民投票に際しての賛成側のポスター

今回の記述の基にしているのは国民投票に先立ち有権者に配布(郵送)される投票の参考にするための連邦政府発行の小冊子の記述(賛成側と反対側、両方の主張とデータが載っている)です。

またHPとして、<賛成側> 連邦政府の公式HP

https://www.admin.ch/gov/fr/accueil/documentation/votations/20210926/mariage-pour-tous.html

<反対側>

https://mariage-pour-tous-non.ch/

https://papa-maman.ch/

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