スイスというとハイジの世界か湖に面したブドウ畑のイメージで自然環境が守られていると思われがちですが、住宅、道路、橋、トンネルの建設も相変わらずです。古いものを残している部分もあるけど新造への動きもすさまじい。道路や鉄道を通すためには、平地が少ない土地柄ゆえに、すぐに一つや二つのトンネルを掘ることになります。となると、必要なのがセメント。

Eclepensの駅が右端に。Eclepensの町は駅から離れた左下。駅の西側、町の北にMormontの丘。オレンジ色の線はハイキング道。Mormontの丘に行くにしても東側の運河に行くにしても、駅からは449の数字がある方向に向かい、そこから分かれます
今ニュースに時々出てるのがVaud州のElépens。町の郊外には大規模なセメントの採掘場があり、ここに半年近く前からこれ以上のスピードでの採掘を阻止しようと反対派がテントで立てこもってる人たちがいます。
一方Eclépens駅の東側(セメント採掘場の反対側)には、Neuchâtel湖とレマン湖を水路でつなごう(レマン湖から先は川でフランスへ)として運河を掘ったけど予算が大きく超過して未完のまま終わった跡が今でも見られます。
まずはセメント採石場。多国籍企業のLafarge Holcimが1953年から採掘を始めたので歴史は古いですが、近年は採掘のペースがグンと上がっていました。さらに丘一つ崩そうという勢いの計画に対して反対陳情を連邦裁判所に訴え、裁可待ちだったところを昨年の10月に30~40人が使われなくなっていた家とテントに立てこもってバリケードつくってそこまでのアクセスを封鎖するという行動に出ました。
この丘はMormontという名ですがアメリカのユタ州に総本山がある宗教(こちらのスペルはMormonで最後のTが無い)とは全く関係ないです(Montは頂の意味なのでMor山てな感じ)。
Mormontの丘は紀元前1世紀の時代から人が住んでいて、ケルト人の遺物が発見されるのと、ここにしか生息しないランや蛇がいるなど自然生態的にも貴重な場所なのです。
3月中旬になってそろそろ強制排除か?と心配されたところに主に左派の議員が連帯を表明、と今後の展開はわかりません。
ハイキング路が駅から丘の上、そこから採石場をぐるっと回ってあるので何年か前に歩きましたが、ものすごい規模でした。地図でわかるように採石スペースのギリギリをグルっと歩くように道があるのですが、道があるLa Birette一帯をも削ってしまおうという試みに反対意見が出ているわけです。
スイスにおける住民一人当たりのセメント生産量(使用量)は世界でも有数で日本よりも多いです。私自身鉄道にも道路にもお世話になってるし、セメントが大量に使われている家にも住んでいるし・・・なんですけどね。
次回は運河の跡。
歩行と写真はセメント採石場が2019年1月、駅からの2枚は運河へ行く途中で2017年10月
3月30日追記:火曜日の朝、警察の強制排除が始まりました(下のサイトはRTS(Radio Télévision Suisse)のまとめ報道。ZADはZone à défendre=保護ゾーンのこと,zadisteはそれに関わってる(たてこもってる)人のこと
立てこもっている側のサイト:Sauvons le Mormont(Mormontを救え)
https://www.sauvonslemormont.ch/
セメント会社Holcimの言い分
https://www.holcim.ch/fr/occupation-au-mormont
新聞Le Matinの記事
https://www.lematin.ch/story/des-militants-occupent-le-mormont-pres-declepens-919758652798