2020年 スイス流行語大賞はCoronagraben (フランス語圏)

Coronagraben(コロナぐらべん)。「流行語」とは銘打ってないがスイスにもチューリッヒにある言語研究機関が選んだその年の「語」がある。4か国分、上位3語までが発表され、2020年は当然コロナウィルス関連が占めているが、Suisse Romand(フランス語圏のスイス)ではCoronagrabenが大賞。

Grabenはドイツ語で「溝」、フランス語圏なのにドイツ語という妙なことになっているが、Coronagrabenには元になった単語、Röstigrabenがあるのだ。Rösti(ロスティ)はベルン州が発祥とされるジャガイモの細切りを焼いた料理。つまり、スイスにおいてフランス語圏とドイツ語圏の間の「ミゾ」、不一致や不協和音を表す語である。

この単語が最初に出現したのは第一次世界大戦時。それぞれドイツとフランスに対する親近感があったことから生じたドイツ語圏とフランス語圏の間の思想の不一致。それでもこの語が一般化したのは1970年代末だそう。まあ今ではフランス語圏でもRostiは食べられているので溝というよりはドイツ語圏とフランス語圏をつなぐ食べ物ともいえるけど、やはり今でも断然ドイツ語圏スイスで、より頻繁に食べられる気がする。なお、イタリア語圏とドイツ語圏の溝を表すのにPolentagrabenという語もつくられたが、こちらはほとんど広まらず。なお、マクドナルドではスイス限定Rostiとグリュイエルチーズ入りバーガーあり

写真は去年のコカ・コーラの広告。(フランス語圏もドイツ語圏も)一緒に食べよう!とあって、スイスの形をしたジャガイモ料理Rosti(ハッシュドポテトの太め)が二つに割れてて西側の小さいほうがフランス語圏。この割れ目=溝がRostigrabenで言語境界線。言語境界線界隈については来年書きたい。

コロナウィルスに関しては、3月からの第一波の時からずっとフランス語圏のほうでドイツ語圏でよりずっと感染者の数が多かった。状況が深刻であったフランスと国境を接しているから、交流が多いからなどの理由が考えられたが、解せないのは10月に入ってからのひどさ。フランス語圏の全6州がヨーロッパの人口当たりの新規感染者数上位6位を占めるという惨状。10月末から11月初めにかけて、これらの州で次々にレストランや劇場・映画館などの閉鎖措置がとられたこと、しかしジュネーブ州以外は生活必須品以外を扱う店舗は開けたままで、「経済優先」との批判もあったことは日本でも報道されてましたね。

言語境界線にもなってるSarine川にかかってる高い高い橋から

フランス語圏とドイツ語圏の間にコロナ感染状況が異なり、それに伴う対策措置にも異なり、それを表すCoronagrabenという造語が実に頻繁に聞かれました。違いの理由はそれぞれの生活習慣の差だとか色々言われたけど結局のところ、わからない!ドイツ語のほうが唾飛びそうなイメージなんだけど。

Sarine川にかかる橋

フランス語圏の州では5週間の閉鎖期間を経て、周辺の国と比べると状況はまだまだ全然褒められたものじゃないんだが、それでも私が住むVaud州では24時間での新規感染者数が11月初めの2000人以上というとんでもない状況から300人ちょっとにまで下がったので12月10日にレストランを開けることに。ところが直前の12月8日午後になって、ドイツ語圏での状況が急激に悪化したので全スイスで一律レストランを19時で閉めるべしとの連邦政府のお触れ。こっちは5週間耐え難きを耐え(実際この寒空で食事をするところがないというのは外で働く人にとって大変だった)、再開業に備えて冷蔵庫を満杯にしたのに今になって一律に扱うな、と飲食店業界の反発はすさまじく、結局少なくともヴォー州は23時まで営業が許可された。再生産数1超えが3日続いたら即強制時短か閉鎖されるらしい・・・

なお、Friboug州内を流れるSarine川は言語境界線にもなっており、フランス語圏からドイツ語圏のことを「outre-Sarine」とも呼びます。「川向う」という意味ですね。この溝は本当に根深い。

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