スイスにおけるコロナウィルスの状況(2月28日夜の時点)

展開は急でした。

2月25日(火)午後にスイスでの最初のコロナウィルス感染者をTicino(ティチーノ)州で確認。患者はその10日前にミラノに遊びに行ってました。Ticino州はミラノをはじめとする北イタリアと接している州です。毎日7万人がイタリアからTicino州に国境を越えて働きに来ており、その多くが病院や老人ホームに勤務。国境を閉鎖するのは不可能。これ以降、一気にニュースが騒ぎ出しました(それまでは全然報道しないような日もあったくらいだった)。

その後あれよあれよという間に感染確認が増え、28日現在ではスイス全土で感染者15人、隔離が100人ほどでさらに増えることが予想されます。

27日、ホッケーの試合が無観客(huis closというんですね。この単語初めて知った)で行われることに決定。日本ではサッカーJリーグが開幕したところですが、こちらではホッケーがプレイオフが決まる前の最後の2試合、超緊迫したところでしたが無観客。

28日、伝染病に関する警報レベルが3段階のうち2番目のレベルに引き上げられました。連邦政府決定で1000人以上の集まりが少なくとも3月15日まで禁止。スポーツもコンサートもイベントも1000人以上の規模は不可。バーゼルの時計市、ジュネーブのモーターショー、バーゼルのカーニバル、その他今がシーズンの各地の大小のカーニバルが取りやめ。

ジュネーブのモーターショーは毎年ハリウッドスターなどの有名人が訪れ記事になり、来場者60万人(うちマスコミ1万人)を見込んでましたが中止。ジュネーブに入ってくるはずだった2億フラン(200億円以上)がフイになりました。バーゼルのカーニバル ファスナハトが中止になったのは1920年以来。その時はスペイン風邪が原因でした。

この、連邦政府決定というのは極めて異例のことです。「州ごとに決定して州ごとにバラバラ」なのがスイスでは普通ですが、今回に関しては政府命令です。28日の18時からのラジオRTSの番組での厚生大臣Alain Bersetの会見、フランス語ですが興味のある方はお聞きください。ちなみにイベントのキャンセルに伴う連邦政府の補償などはありません、とも明言しています。イタリアやドイツはchaîne d’infection=感染経路がたどれなくなってしまった=制御不能状態になってしまったが今のところスイスはまだそこは何とかなっているから対処可能かもと言ってますが。どうなるのかなあ。

街中でマスク姿を見かけるかどうかですが、私の近所ではマスクをしている人は殆どいなかったです。Lausanneの場合、かなり混んでる地下鉄(始発駅から終点駅まで乗っても30分もかからないし、すごく混んでるのはせいぜい10分くらいか?)で、スカーフやマフラーを鼻まで上げてる人もいます。今日のラジオ番組で解説していた病院関係者が「それはあまり効果がない」「感染者と2m以内の距離で15分間以上一緒の場合に感染の危険性がある」と言っていたのと(スイスの関係者の意見です)、そもそもマスク売ってないんじゃなかろうか。薬局入り口には消毒スプレーは並んでたけどマスクも「マスク売り切れ」の貼り紙もなかったな。でもこのご時世なのでマスクをしていても従来のように重病人だと思われて避けられることはないと思います。

ちなみにアジア人が差別されるかどうかですが、スイスの場合、最初から今日にいたるまでの感染者がほぼ北イタリア経由での感染で、直接の中国経由ではないのです(イタリアでの最初の感染は中国帰りのイタリア人らしい)。そしてつい4日前までスイスは大丈夫かもしれないという漠然とした期待がありました。私の個人的な感想ですが、ウィルスが原因でのアジア人憎し(注意:こちらの方々の多くにとってアジア系は中国人も日本人も区別がつきません)はおかげで避けられたんじゃなかろうか。もっとも、普段から押し寄せる中国人観光客やビジネス客(くどいようだが日本人に対しても区別がつかない)に対する嫌悪視線の存在は否定できないですけどね。

コンビニが無いし、日曜日や夜にやってる店舗もあるにはあるが、普通のスーパーに比べて値段が相当割高になるし品揃えも劣るので、日本に比べると遥かに普段から食品や日用品を備蓄する傾向があります。

知り合いの90代夫婦は第二次世界大戦中の経験があるので(スイスは中立国だがバリバリの戦時非常体制を敷いていた)いまだに常にそれなりの食料品を蓄えています。そしてびっくりするのは在庫管理もしっかりしてるのだ。全然ぼけてない。私など貴重な日本食材も、勿体ない勿体ないと言いながらあっという間に賞味期限を数年超過させたりしているので見習わなければ・・・です。

そう、もし自分や自分の周辺が感染者となって自宅幽閉2週間となったら~と考えて食料品などを備蓄する人は増えてます。ちょっと余計に買う傾向は出てくると思いますが、店舗の棚が空になる事態には今のところなっていません。

Via GottardoでTicino州を歩いていますが、まさにTicinoとミラノやロンバルディアとの緊密さについて書いてるところです。スイスに住む人にとってイタリア、ミラノは本当に身近なところです。ちょっと遊びに行きたくなるところなんですよね。

2月29日補足:スイスでの政府発表のウィルスに対する予防策は1.念入りな手洗い。石鹸などの使用。2.咳やくしゃみの際にはmouchoir(=ティッシュペーパーともハンカチともとれる)で口と鼻を覆い、mouchoirは蓋のあるごみ箱に捨てる。mouchoirが無い場合は肘の内側で覆う 3.具合が悪い際には家で休む 4.感染の疑いのある者と2m以内の距離で15分間以上一緒の場合に感染の危険性があるので隔離

ウィルスに感染しているかの検査は通常200フラン(2万円超)かかりますが、スイスでは健康保険の適用にするとの発表がありました。

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