スイスの住宅（６）部屋を借りる

スイスで部屋を借りる、これが大変。日本では不動産事務所にでお願いすればいくつか見繕って連れて行ってくれ、気に入ったところが見つかるまで付き合ってくれます。落語の一席、化け物屋敷の時代からそんな感じですよね。ところがスイスの不動産事務所ではそのようなサービスは受けられません。自分で何とかしなければなりません。しかも手頃な家賃の物件の空きが非常に少ないのです。地方によっては空きが多くて部屋探しに苦労しないこともあるし、過疎に悩むところもさえもありますが、仕事がある、つまり経済活動が活発な都市部の住宅不足には厳しいものがあります。

（１）一番簡単なのは知り合いや知り合いの知り合いから直接部屋を引き継ぐことです。スイスで新たに働き始める場合には仕事と住居を前任者から一緒に引き継げれば理想的です。スイスには外国から仕事を求めてやってくる人が大勢いて、国によっては同国人の強力なコミュニティーも存在しています。コミュニティ内で仕事と住まい、この二つの強力なツテがまわってくるらしい。スイスは小さな国なのでコネが大事。

（２）そのようなコネがない場合、ネットの家探しサイトで探します。homegateやimmobilienといった不動産専用サイトの他にanibusと言った、家具から小物などありとあらゆるものの売買お知らせサイトにお部屋探し部門もあります。anibusでは「正式」な不動産契約の他に、下宿や間貸し、数か月間旅行に行っている間だけ、平日のみ、週末のみ貸します、といった情報もあります。

Lausanneを遠くから眺める。こうしてみると家が沢山あるように見えるのだが・・・

（３）地域のミニコミ誌やスーパーの掲示板にも空き部屋情報が出るし、こちらから「求む！空き部屋」を投稿できます。ネットで掲載されるよりも競争率は低いかも。

（４）大学や大きな病院では専用の物件探し掲示板があることも。部外者はアクセスできないので競争率は低くなるはず。

（５）街を歩いていると建物の窓に「貸します」「売ります」の表示がしてあることもある。

（２）のネットで探す場合、使い方は日本と同じで場所を絞ると一覧が出てきます。家賃、築年、部屋数、広さなどが出てきますが、州によって台所は部屋数に含めるのか、壁部分（壁がとても厚い家もあるんです）を面積に含めるのかなど異なります。日本で見慣れた間取り図は滅多にありません！トイレ・バス（浴槽かシャワーか）情報、台所は開放型かどうか、ベランダは、などが説明されてることも多いです。

さて気に入った物件があったら連絡を取ります。フォームから住所氏名電話番号メールアドレスを記入して送信するとメールか電話で見学の日時が指定されます。見学は個人でかもしれないし、何人かまとめてのこともあるし、不特定多数かもしれません。物件を管理している不動産会社の人と建物前で待ち合わせたり、建物の管理人の人が鍵開けて案内してくれるか、自分で部屋の呼び鈴を鳴らすか。

部屋の現住者の案内での見学も多いです。そう、不動産を借りた側は、賃貸契約終了日（大概は年契約を更新）に退去する場合は楽なのですが、中途で解約する場合には１．次の入居者を自分で見つけて契約させる（つまり伝手・コネで次の入居者が決まる。だからコネがない人間に対する空き部屋は少ない）　2．そうした知り合いがいない場合には前述の管理会社に連絡して不動産探しサイトに掲示を出し、次の入居者を募る。

この辺は定かではないですが、3人以上がその部屋の次の入居申し込みをしないとイカンらしい、そうじゃないと契約終了日までの家賃を払わなければならないのだろうか？余計な出費を抑えたかったら、引っ越す前、まだ家具や衣類すべてが残っている状態で、次の入居者を決めなければなりません。不動産探しサイトに出ている写真の中で、まだ人がバッチリ住んでます、という生活感あふれた部屋写真が載ってるのはこのためです。（人が引き払った空き部屋物件もありますが）。

物件によっては見学の日時が掲載されていて連絡無しで直接訪問してくださいというのもあり、指定された時間（一時間とか2時間とか）に人がまだ住んでる状態のお宅を、多くの見学者がぞろぞろと列をなして眺めて回るということもあります。そうした場合には現住者が中にいて、見学者は「周りの騒音はどうですか」とか「管理会社は親切ですか？」とか自由に質問できます。