Via Gottardoに限らず、旧道は集落間を結ぶ道。同じ集落内の家々は統一感がありますが、山を一つ越したら違う文化圏、それまでとは違った感じの家々に出迎えられることもあります。MeiringenやBrienzの近くにあるBallenberg(バーレンベルグ)にはスイスの古い建物を移築して集めた野外博物館があります。
古い建物の中で昔の生活を体験できるコーナーもあり、スイス人は一度は子供を連れて遊びに来るところなんだそうですが、子供なしで大人だけで来ると違う発見がある!というのは日本の観光地でもそうですね。古い建物の移築というと日本の明治村が思い出されますが、ここではランドマーク的な有名な建物ではなく普通の民家がほとんどです。スイスの全州から集めたと謳ってはいますが、やはり地元ベルン州の建物が多いです。
また当然ですが、移築されてくるのは何らかの事情で解体されることになった家です。あの壁に描かれた模様が最高に美しいエンガディン地方の家などは、数百年を経ても住み続けられているのでありません。現地に行って眺めるしかないようです。
一応地域ごと、あるいは「山の建物」などのテーマで家が配置されてます。中ががらんどうな家もありますが、往時の家具とか食器とか服とか、今でもそこで人々が生活しているかのようにしつらえてある家もあります。
スイスの住居の特徴として、土地が狭いこともあってか地下室があり、多層階造りのことが多いです。しかも階段や入口が狭かったり急で危なかったり。昔の家って全然バリアフリーじゃないです。中は自由に入れるので地下室とか屋根裏とかまで丁寧にのぞいていくとかなりの運動になります。とりあえず中に入って、ひたすら階段上って。昔の人は小さかったのか天井は低い。サイトには歩きやすい靴でおいでくださいとの注意書きもあるくらいです。一日ではまず回り切れません。
私は三分の一くらいで諦めて興味のある所に絞りました。広大なアップダウンのある敷地内(入り口とバス停は東西の端に二か所)に家が点在しています。近くには高速道路や鉄道も走っているのですが、谷あいの底にあるので外界が見えず、外界からも見えず、なんですよね。
4月中旬から11月初めまでのみの開館。また時間は9時くらいから17時か17時半までとありますが、この閉館時刻は点在する建物を順次この時間くらいに閉めるというだけで、この時間までに敷地のゲートの外に出ていなければならないというわけではないようです。敷地内を散策して建物を外から見るのは可。実際広大な敷地内の中ほどで、あと10分、と言われても困るもの。ただし敷地内には街灯などはほとんど無かったような記憶があるので、夏は遅くまで明るいとはいえ、ほどほどの時間までに戻らないと本当の大昔の生活が体験できてしまいますのでご注意を。
Freilichtmuseum Ballenberg公式サイト: 2019年は大人の入場料が28フランでした https://www.ballenberg.ch/en/
写真は2019年7月