2016年以降、鉄道でのアルプス越えはErstfeldの手前から始まるゴッタルドベーストンネルを経由する列車に乗ることが断然多くなりました。従来より1時間は早く、例えばLuzernからLuganoへは最短2時間5分で着けるようになりました。
しかし標高1106mのGöschenenまで上ってからトンネルに入る従来の路線も健在です。昔と違ってErstfeldで一度は乗り換える必要がありLuzern-Lugano間が最短で3時間半。この南に向かう列車に乗ると、標高914mのWassenで線路はループと弧を描きます。
まずはWassenの手前(北)でくるりと一回転。スパイラルを描きながら山側ではトンネルに入る、Muhrentunnel(ミューレントンネル)で高度を稼ぎます。
お次はWassenの前後のWattinger、Leggisteinの二つのループ。Wassenの町を挟んで1往復半。ループする際、山側ではトンネルに入るので、Wassenの町が見えたかと思うとトンネル、トンネルから出ると反対側の車窓に町が一瞬だけ見え、またすぐにトンネル、と大変にスリリング。お見逃しのなきように!
Wassenの町と、端の小さな丘に建っている教会が3回違う角度から見られます。教会は1742年に建てられたバロック期の建築で、町より少し高い930mにあります。
Wassenの町が発展したのは1882年の鉄道開通以降で、それまではAmstegに比べると小ぶりの町でした。人口は1850年に1300人台、鉄道建設期間中の1880年には倍以上の2726人!鉄道開通以降は1000人前後で推移した後、第二次世界大戦以降漸減した後、現在は450人くらいで安定しているようです。
Wassenは町の規模の割には宿の軒数は多いです。私はそのうちのHotel Gerigに泊まりましたが、何世代にも渡る家族経営ホテルでした。何百年とかそういう規模だったような。壁に家系図が描いてありました。
そしてスイスのホテルに泊まるとよくあることですが、夏には外テラスでご飯を食べます(寒い時期はこの限りではない)。テラスは山側、線路が二本見えるところに面していて、食事しながら列車が往復するのを見てました。一回通過した後、二回目が来るまで時間がちょっとあるのでカメラを構えて待っているには便利です。
Wassenの鉄道駅は2001年に廃止され、現在はFlüelenからGöschenenまで北から南に鉄道と並行して走っているバス路線でおおよそ1時間の乗車です。Wassenからは西にもう一本バスが出ています。Sustenpass(スステン峠 2224m)を経由してMeiringenまで走る絶景バス。
このSusten峠越えのバスが走るのはMeientalの谷。この谷には小規模ながら通年人が住んでいる集落があり、ホテルやレストラン、山小屋があるスキーエリアでもあります。もちろん、バスが通るところに沿うように、今ではハイキング道として整備された、昔から人が歩いてきた道があり、峠を越えてその先へと歩き続けることができます。
私の知人は今から40年以上前、16歳の夏に友人と3人で3週間のスイス一周自転車旅行に行き、8月のSustenpassで大雪に降られたそうです。昔のスイスの若者にとって、自転車はファッションではなく今よりずっと外に出る「手段」だったといいます。そして自転車や歩くことで国を知ったそうです。
Wassenの観光サイト(ここはUri州だけど、この南のAndermatt管轄になるらしく、Andermattの観光サイトの中の)
Wassenには多数のホテル(バックパッカー宿も一軒あり)、それにスーパーVolgもあります。
バスでSutenpassの峠越えをした時の私の記事(2013年10月)
写真は2013年6月と10月