Via Gottardo (16) 船に乗って

Luzern(ルツェルン)の町まで来ました!「Vierwaldstättersee、四つの森の国の湖」という名の湖の北西端にある街です。この湖の東南端のFlüelenがGottardo峠の入り口です。公式トレイルルートはLuzernからFlüelenまでは船での移動を提案していますが、歩いてでも船でも鉄道でもバスでも。船はLuzernからFlüelenまで3時間弱、夏には一日8本の運航があります。

複雑な形の湖の、一番右下の部分。この南端にFlüelen

船の運賃は片道46CHF(2019年)。鉄道やバスなら直通でも乗り換えでも1時間前後で21CHF 位。鉄道もバスも船もスイストラベルパスや一日乗り放題パス1day travelpass/Tageskarteで乗れます。そして船も途中下車前途有効なので、途中の港で降りてまた乗る、ということも出来ますよ。

Sisikonの北側にAxenberg。湖畔の崖をくりぬき道Axenstrasseが開通するまではここを通るのは大変でした。対岸にはやはり難所のSeelisberg。

Flüelenまで陸路で行くのは昔は大変でした。SeelisbergとAxenbergは湖沿いを険しくて高さのある崖が垂直に続いている難所。Alexenbergの湖沿いの崖をくりぬいてAlexenstrasseの道が開通する1865年まではもっぱら水運が移動に使われていました。Alexenstrasseは1930年にトンネルを駆使した車道が隣に開通して以来、徒歩及び自転車専用道となっています。Flüelenに面した一番南の湖Urnerseeの両岸ではスイス建国時の名所が多数あり、またちょっと上ると湖を望む眺めがあるので、数多くのハイキング道があります。

Sisikonの南側。Tellsplatte、Tellskapelleなど伝説の人ウィリアム・テル関連が湖畔にたくさん。

湖の水運はGottardo峠の通行が本格化する以前から重要でした。FlüelenがあるUri(ウリ)州は中世の時代は湖の北にあるチューリッヒのFraümunster(つまりは教会の司教区)の支配下にあり、Uriは小作料を船でBrunnenへ、そこからまた別の湖上を船でチューリッヒまで運んでいました。13世紀初めより、肥沃なLuzernからスイス中央部へは、穀物を運ぶ定期便が毎週運航していました。1837年に蒸気船が登場し、今でも観光船での運航があります。ここまで歩いてきたVia Gottardoですが、これが唯一無二の道だったわけではありません。巨大な障壁となって立ちはだかった山々を前に、どこか通り抜けられそうな箇所はないかなあ、と開拓された沢山の峠の一つがGottardo峠。峠も一つではなかったし、そこへいたる道筋もまた数多くありました。例えばLuzernの対岸にはStansstadがあり、ここからStans、Engelbergを経てイタリアまでチーズを運んだ道Via Sbrinzは去年ご紹介しましたね。

Rossolis社の本「La Suisse a pied 7 Via Gottardo」の扉絵から。今回は左側のBaselからのルートを歩行してますが、バリエーションとして右側の道もあった

そのうちの代表的な経路、バーゼルからの道がロングトレイルとして整備されています。シャフハウゼンからチューリッヒを経由して同じ湖に到達する経路も、以前はVia Gottardoのバリエーションルート77番の道として載ってたんですが(私は本を2012年に購入)、今公式サイトを見たら無くなってますね・・・名前付きの道ではなくなったというだけで、ハイキング道自体は残っています。そのうち別の視点で名付けて整備しなおすのかも。

湖の左側にSeelibergのピーク、右側にAxenstrasse。険しい崖状態のところに道を作りました。この道は現在では隣のトンネル道にとって代わり、歩行者・自転車専用道。

本に載ってる別ルートではドイツとの境にあるシャフハウゼンからライン川をたどってZurich)チューリッヒ、チューリッヒ湖の水運を利用してZug(ツーク)。そこからやはり湖の水運を最大限に利用してLuzernまで来ています。

上の地図の右のピークStoos近くからの眺め

スイスの原初3州の盟約(1291年)はGottardo峠の通行利権を確保するのが一番の目的でした。1332年に加盟したルツェルンと合わせた4州が湖を囲んでいて、ルツェルン加盟の理由も峠関連の利権確保でした。続いて1351年にチューリッヒ、1352年にグラールスとツーク、1353年のベルンと続きます。チューリッヒは山の民とは異質の商業的に成功した都市住民でしたが、当時の絹産業のさらなる発展にはGottardo峠が必要でした。

Flüelenからはいよいよ山の中に入っていき、久々の鉄道と共に歩く道となります。

Luzernを中心とする船会社のHP

https://www.lakelucerne.ch/en/

Via Sbrinz チーズを運んだ道

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