今日の写真はSwissSkillsでAgent de transport publics(公共交通機関)のコーナー。連邦鉄道SBB/CFFとBLSが仕事を紹介してました。コンペはなくデモのみ。上の写真中央は女性で唯一か初めての線路補修に携わっている方。彼女の指導の下、あのガガガ機械を体験できる!
Apprentissage (仏) /Lehrstelle(独)(以下職業訓練)についてお話します。3~4年、または2年のコースがあり、それぞれ取得できる資格が異なります。その職に必要な現場実践研修(週3~4日)に加えて、週1~2日職業学校に通って一般教養を含む理論を学びます。普通科高校や大学卒業後に始めることも可能で、この場合は一般教養の履修時間が短縮されます。実践と理論の両方の試験に受かって初めて国家資格が得られます。受け入れ側とは雇用契約を結び、年に5週間の休暇と自立して生活するには全然足りないながら給料がもらえます。これとは別に週5日の職業学校(ホテル学校など)に入る道もありますが、こちらは現場研修に給料が出ることは稀です。
受け入れ側は、銀行、郵便局、大手スーパーをはじめとする大企業から個人事業まであらゆる職業に存在します。小さな形態の場合、受け入れ側で指導に当たれる人数に対して研修生の人数の上限があり、受け入れ人数には限りがあります。雇用者と研修を受ける側との二者のみの契約ではなく、職業訓練学校への登録、国家資格が絡んでるわけですから関係機関への届け出や審査等厳しいです。ちゃんと国家資格が取れまでの(これが難しいらしい)指導ができるのか、単なる労働力として使われないか、最初と最後だけでなく、期間中あまたの提出書類で報告が義務付けられてます。
人気のある職種や職場で訓練を受けるには中学までの成績がもちろん大事です。また職業研修前にStage/Praktika(職業体験とても訳すか?次回)を義務付けたりStageを通して訓練生を選抜することもあります。
昔はもっと訓練生を本気で育てようという気概があったけど今は労働力として当てにしている部分も大きくて、職場によっては指導が足りなくて、と嘆く人もいます。今は良い職業訓練の場を見つけるのはとても難しい、とも言われます。どうやって見つけるか、ですが、大手だったらHPからの情報収集や申し込みもできるし、たまに美容室などに「Apprentissage受け入れます」との貼り紙も見ます。ピアノ調律師とかパイプオルガン修復師などの特殊職業の場合には本人のところに直接連絡を取ってお願いします。
無事CFC/EFZ(国家資格)を取得してから全然違う分野で再度職業訓練を始めることも可能です。いくつもCFCを持っている人も珍しくありません。このCFCというのはとても重要で、求人はCFC所持を条件としているところがほとんどです。また例えば船運会社では木工とか機械関係のCFCを持っていれば優先して採用するらしいです。そのCFCが直接業務に結びつかなくても、数年間規則正しく勤勉に通える素質やペーパーテストをクリアした、何かを成し遂げる能力の証明にもなります。
ここがすごいところですが、職業研修を終え、CFCを取ってしまえば、なんと、大学への進学も可能です。大学で学ぶに必要な知識などを学ぶFormation préparatoire/Vorbereitungskurze(準備教育)、さらにPasserelles(歩道橋、橋、つなぐものの意味でそれまで学んだ専門とは異なる進路に進む場合の準備教育)が課されることもありますが、15歳の時点で職業訓練への道を選んだからと言って、その後の大学などの高等機関での勉学の道が閉ざされるというわけではありません。
訓練修了後、さらに上位の国家資格を目指すのも可能です。CFC保持者が進めるEcole Supérieur(ES)は大学と同等扱いになるようですね。
Apprentissageについて
https://www.orientation.ch/dyn/show/2958
スイスの教育と職業研修(両方合わせてFormation)システムについて
https://www.orientation.ch/dyn/show/2800
Ecole Supérieur(ES)
https://www.orientation.ch/dyn/show/3466