ダム!Barrage de la Grande-Dixenceとゴダール

内部ガイドツアーでダム内部。

Via Sbrinzの道中、ダムの脇を通ることが多々ありました。昔はスイスの川にも海からはるばる鮭が上ってきたそうですが、現在は水力発電用のダムがあちこちにあり、スイスの川に海の魚がたどり着くことは難しい状況です。数あるダムのうち、Valais州にあるスイス最大の水力発電ダム Barrage de la Grande-Dixenceをご紹介します。

こんな感じで見学用の通路を通ります。 結構階段の上り下りがあります。歩きやすい靴で!

電力需要の増大に応える形で1953年から1961年にかけて国を挙げての大工事で造られました。日本の黒部ダムのような感じでしょうね。

このダムでは10CHFで内部が見学できます。事前予約の必要が無く、個人で参加できる貴重な機会です。6月中旬から9月末まで毎日一日4回。説明はフランス語ですが、足元に気を付けてガイドさんの後をついていくだけならば言葉がわからなくても大丈夫かと思います。ただし狭くて暗い所を通るのと、階段の上り下りが結構あるので歩きやすい靴と少しの覚悟持参で!

内部見学から出てきたところ。絵葉書が記念にもらえます。

映画界の巨匠Jean-Luc Godard(ジャン・リュック・ゴダール)は若いころこのダムの建設現場で働いていました!見学の途中で7分ちょっとの彼が編集したフィルムの上映があります。ゴダールはフランス・スイス二重国籍で1930年生まれ。経済的に恵まれた家庭で若い頃はスイス西部でも過ごしました。青年期にはやんちゃ、というか盗癖があったようで父がせっかく世話したチューリッヒでの会社での盗みの咎で留置所3泊、ついで精神病院へ入院させられ、これにより父とは以降10年以上断絶しました。退院後、母の計らいで1953年から1954年にかけてダム建設現場で働き、仕事の合間にはGenèveにて建設現場で撮った映像の編集をし、「Opération Béton(Bétonはコンクリート)」というドキュメンタリー映画を完成させました(1954年)。

見学ツアーの後は、さらに上ってみよう。大抵のダムには周辺にハイキングコースがあります。

ゴダールの最初の作品のタイトルにも入っている「コンクリート」、600万m³が使われています。高さは285mで世界最高、貯えられる水の量は4億m³でヨーロッパ最大、ダム湖の全長が5㎞、規模が大きすぎて単位が合ってるか不安・・・

ダムの壁の淵。渡れます。人の姿が小さいなあ。

見学は有料の内部コースの他に、バス降りてすぐの所に無料の資料館があります。アクセスはSionからPosteバスDixence, le Chargeur行き終点。おそらく乗車券のほかにAlpin Taxが徴収されます。終点間際、バスに乗っている時から目の前に巨大な壁が出現します。見学ツアーと資料館はバス停とほぼ同じ高さにありますが、さらに上るとダムの淵、壁のてっぺんに着きます。ここ、渡れます。(上の写真)淵から南の方を見下ろします。

一つ前の写真からちょっとだけ角度を変えて。右に見えるのが資料館などがある建物群。バス停降りたところには食事処がありました。トイレも自由に使えると思います。

さて壁から湖畔にかけてハイキング道が整備されています。ダム湖沿いから東へ行けばArolla、西にずーっと行けばVerbierまで続いてますが、その場合は3000mの山越え峠越えがあるので装備と準備が必要です。

湖畔の道。トンネルが何ヵ所かある

帰りのバスの時間を確認して、行けるところまで行って帰ってきましょう。ダム湖には周辺35の氷河の水が流れ込んでいます。遠くに見える山の白いところは氷河です。実はバス停で標高ほぼ2100m、壁の淵では2365mあります。お天気次第ではすぐ寒くなりますのでお気をつけて。湖沿いの道では、途中トンネルになっているところが何ヵ所かあります。ひとつはかなり長く、昼間でも暗いので両側の入り口に灯りのスイッチがあるのですが、一回スイッチを入れると続けては押せず、前の人が点灯した後だと、渡っている途中で暗くなることもありますが、まあ、大丈夫でしょう!

地図は https://map.schweizmobil.ch/

ダムのサイト、次にはそこにあった紹介映像:

http://www.grande-dixence.ch/

Grande Dixence, l’énergie au coeur des Alpes from Grande Dixence on Vimeo.12

訪問と写真は2013年7月

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